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塩竈で「ジョルジュ・ルース アートプロジェクト」作品展-松島のカフェで制作

塩竃・ビルドスペースでの「ジョルジュ・ルース アートプロジェクト in 宮城」展示の様子

塩竃・ビルドスペースでの「ジョルジュ・ルース アートプロジェクト in 宮城」展示の様子

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 宮城県塩竈市のアートギャラリー「ビルドスペース」(塩竈市)で5月11日、「ジョルジュ・ルース アートプロジェクト in 宮城」の作品展示と記録映像の上映が始まった。

作品を手掛けたジョルジュ・ルースさん

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 フランス人アーティストで、廃虚となった建物や改修予定の場所で絵を描き写真に撮るという手法で独自の世界を切り開いてきたジョルジュ・ルースさん。東日本大震災を受けて「何かできることがあれば」と企画者でキュレーターの岡部あおみさんに話を持ち掛け、「空間の記憶を残す」同プロジェクトがスタートした。

 制作場所となったのは、松島町・西行戻しの松公園内にあるカフェ「ロワン」。震災の影響で建物躯体に大きなダメージを受け、休業を余儀なくされた同店は多くのファンから営業再開を待ち望まれていたが、改修工事に多額の費用が掛かることから町が解体を決定した。

 プロジェクトには、1995年にルースさんが手掛けた「阪神アートプロジェクト」のメンバー、企画に賛同したデザイナーや美術関係者、ロワンの利用客など約40人がボランティアで参加。4月21日~24日に作品制作のためロワンの一部解体と作品の塗装作業を行い、24日・25日に撮影。5月8日に写真作品が完成した。

 会場には「松島 2013(ネガ/ポジ)」と題された写真作品2点(各110センチメートル×132センチメートル)を展示。仙台の映像ディレクター・高平大輔さんが手掛けた記録映像も上映する。

 「大震災というつらい過去の記憶を忘れることなく、航路を導く美しい星々の光に照らされて、希望と未来が力強くかじを切って進んでいってほしい。そんな願いが込められた作品が、温かく見守ってくださった全ての人々の思いと共に生まれた」と岡部さん。実行委員会副代表で同ギャラリーを運営する高田彩さんは「私たちの被災した経験や記憶がルースさんの視点によって光が与えられ、そのことによって新たな記憶や経験で塗り替えられ作り替えられる。その変換の力強さを感じていただきたい」と来場を呼び掛ける。

 実行委員会では今後、美術館などへの作品寄贈を検討している。高田さんは「もちろんルースさんの作品だが、次のステージを思い描こうとする皆さんによる大作でもある。作品が生まれた背景、プロセス、人々の思い、精神などを含んだ写真作品として、これからも美術館の中で語り継いでいってくれれば」と期待を寄せる。

 開催時間は11時30分~17時30分。月曜定休。入場無料。展示は今月26日まで。

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