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宮城県産イチゴ、船で香港へ 実証実験で一括大量・低コストの海上輸出に道筋

(左上から時計回りで)試験輸出前のイチゴ品質調査、香港の物流センターへの搬入、現地バイヤーとの検品、小売店での販売(写真提供=宮城大)

(左上から時計回りで)試験輸出前のイチゴ品質調査、香港の物流センターへの搬入、現地バイヤーとの検品、小売店での販売(写真提供=宮城大)

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 仙台水産、JA全農みやぎ、宮城県および宮城大が協働で宮城県産イチゴの海上輸出の実証実験に取り組み、香港の小売店での販売にこぎ着けた。4月27日、宮城大が発表した。

宮城大食産業学群の兼田朋子准教授

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 宮城大によると、現在、青果物輸出の大半は航空輸送で行われているが、輸送コストが高いことに加え、温度管理が難しく、輸送中の衝撃による荷傷みが発生しやすい問題があるという。需要拡大も見込まれるため、短時間・小ロットの航空輸送から一括大量・低コストの海上輸送へのシフトが求められているが、青果物の海上輸送には品質保持技術の確立が課題だった。

 今回、宮城県産育成品種「もういっこ」「にこにこベリー」の初めての海上輸出に当たり、宮城大食産業学群食品保蔵学研究室が技術指導を行った。収穫後から販売まで1℃に低温管理したコールドチェーン流通を確保し、流通中のイチゴの呼吸量抑制および乾燥防止のための特殊な包装を導入し、流通中の荷傷みを低減するためイチゴ同士が接触しない緩衝包装を使った。

 2月から3月にかけ16日間の船舶輸送を経てイチゴ1280パックが香港に着荷し、香港内5カ所の小売店で販売された。色や水分、光沢も含め品質は出荷時とほぼ変化がないことを確認し、現地バイヤーからも評価が得られたという。

 同研究室の兼田朋子准教授は「今回の海上輸出の成功は、イチゴに限らず、県産さらには国産青果物の効率的・低コスト輸送実現の布石となった」と手応えを話す一方、「コンテナを満載にするための輸出品目、出荷量の確保といった課題も残る」とし、「今後、産地間連携の推進などにより一定の輸出量を確保し、県産青果物の周年安定供給が海外市場で展開されれば」と期待を寄せる。

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