仙台市内のIT企業などで構成する団体「Fandroid EAST JAPAN」は3月4日、東日本大震災の記憶を伝えるアプリ「DARK TOURISM SENDAI(ダークツーリズムセンダイ)」をリリースした。
「災害の記録と伝承が必要とされる中、被災地では震災の記憶の象徴でもある震災遺構が取り壊され、記憶の風化が進んでいる」と同アプリ担当者。現地で震災の記憶を直接聞くことができる「語り部ツアー」は記憶の伝承の手段として効果的だが、「全国からの被災地ツアーに対して語り部が足りず個人向けにはほとんど手が回らない」という。
そうした現状を受け開発された同アプリ。仙台市経済局が行うIT産業の活性化を目的とした情報産業支援事業の一環として同団体が受託し、観光コンベンション協会や県内のNPOの協力により完成にこぎ着けた。
アプリでは、語り部やガイドによる宮城県内の被災地ツアーの音声を聞くことができ、現地の震災当時とその後の写真が見られる。実際に両耳で人が聞いている状態で録音する「バイノーラル録音」で収録された音声は、「現地でフィールドレコーディングしているため聞き取りづらい箇所もあるが、そこで実際に聞いているような臨場感を感じられる。ぜひイヤホンを使って視聴いただければ」。
仙台駅を起点に被災地との距離が縮まると追加チャプターが視聴可能となり、現地を訪れることで全てのチャプターが視聴できるようになる。「アプリ片手に現地を訪れ、自分の目と耳で被災地の現状を確かめてもらいたい。そして、その記憶を自分の言葉で伝えていただければ」
利用無料。iOSに対応する。現在は、石巻市・東松島市、名取市閖上、気仙沼市のツアーを収録。今後、南三陸町や仙台市も追加される予定。