就職活動における価値観の多様化が進む中、企業は「今の就活生」とどのように向き合っているのでしょうか。今回の調査では、就活生との間に生じるギャップをどう埋め、自社の魅力をいかに伝えていくか――模索を続ける採用現場のリアルな実態が明らかになりました。

生活者視点をベースに統合型マーケティングを提案する株式会社クレオ(東京都千代田区、代表取締役社長:横井 司)の採用マーケティングチームは、従業員数100名以上の企業で新卒採用に関与している人事・採用担当者1,003人を対象に「就活生との価値観ギャップに対する企業の対策」に関する調査を実施しました。
新卒採用市場では企業と就活生の価値観のギャップが広く認識されるようになり、そのギャップを前提とした採用活動の見直しを進めている企業もあります。
しかし、実際にどのような対策がとられ、どの程度の効果を実感しているのかは明らかになっていません。
では、企業側は就活生との間にどの程度価値観のギャップを感じ、どのような対策をとっているのでしょうか。
【調査概要】「就活生との価値観ギャップに対する企業の対策」に関する調査
調査期間:2026年4月14日(火)~4月15日(水)
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,003人
調査対象:従業員数100名以上の企業で新卒採用に関与している人事・採用担当者
調査実施:株式会社クレオ(https://kreo.jp/)
本記事掲載以外の回答内容など、全データは本調査レポート(無料)にてご確認いただけます。
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約9割が実感する今の就活生との価値観の違いと対応策の現状

「新卒採用において、就活生との『価値観のギャップ』を感じるか」と尋ねたところ、約9割が『とても感じる(46.0%)』『やや感じる(47.6%)』と回答しました。
この結果から、企業側の認識と現在の就活生の働き方の意識に、明確なズレが生じている状況がうかがえます。
では、価値観のギャップを埋めるためにどのような取り組みを行っているのでしょうか。
ここからは、前の質問で『とても感じる』『やや感じる』と回答した方にうかがいました。
「今の就活生の価値観やスタイルを理解するためにどのようなことを行っているか」と尋ねたところ、『内定者や若手社員へのヒアリング(59.5%)』と回答した方が最も多く、『就活生へのアンケートや直接の対話(57.3%)』『採用市場の調査レポートやニュースの閲覧(40.4%)』となりました。
上位に挙がった回答から、調査レポートやニュースで世の中の傾向を知るだけでなく、現場の若手社員や実際の就活生から「生の声」を集めようとする姿勢がうかがえます。
表面的な情報だけで判断するのではなく、対話を通じて個別の価値観を理解しようとする採用現場の姿勢が読み取れます。
そのような中、採用活動の内容を見直したことがある方はどの程度いるのでしょうか。

「今の就活生の価値観やスタイルを踏まえて、採用活動の内容を見直したことはあるか」と尋ねたところ、約9割が『ある(89.6%)』と回答しました。
大多数が採用活動の内容を見直したことが『ある』と回答し、企業側が旧来のやり方に固執せず、変化に柔軟に対応しようとしている様子がうかがえます。
では、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。
前の質問で『ある』と回答した方に、「今の就活生の価値観やスタイルを踏まえて、採用活動においてどのような取り組みを行っているか」と尋ねたところ、『採用メッセージや自社の魅力の伝え方の見直し(52.0%)』と回答した方が最も多く、『人事に若手社員を登用(40.8%)』『SNSの活用(38.8%)』となりました。
就活生に対する「情報発信のあり方」や「コミュニケーションの手法」を見直そうとしている姿勢がうかがえます。
特に、『人事に若手社員を登用』や『SNSの活用』といった取り組みからは、就活生に近い目線で親しみやすさや職場のリアルな雰囲気を伝えようとする意図が読み取れます。
上記以外に実際に行っている内容や工夫している点を具体的に聞きました。
■今の就活生の価値観やスタイルを踏まえて、工夫していることとは?
・内定者へのこまめな連絡(30代/男性/京都府)
・インターンシップの積極的な活用(40代/男性/神奈川県)
・学生との交流会を通じて傾向やニーズの把握を定期的に行っている(50代/男性/埼玉県)
・本音で話せる機会の創出(50代/男性/大阪府)
・他社の人事担当者と情報交流を行っています(50代/男性/岐阜県)
実際に行っている内容や工夫として、「本音で話せる機会の創出」や「こまめな連絡」など、就活生とのコミュニケーションの質や頻度を高める取り組みが目立ちます。
また、「インターンシップの積極的な活用」や「交流会を通じたニーズの把握」といった回答からは、企業側が一方的に就活生を評価するのではなく、実際の体験や対話を通じて「就活生の目線に立ち、相互理解を深めよう」と意識している様子もうかがえます。
これら、今の就活生の価値観やスタイルを踏まえた対応は実際の成果につながっているのでしょうか。

「今の就活生の価値観やスタイルに合わせた対応を行ったことで、就活生の志望度や志望意欲に良い影響があったと感じるか」と尋ねたところ、約9割が『とても感じる(32.2%)』『やや感じる(59.6%)』と回答しました。
大多数が良い影響を「感じる」と回答し、就活生の価値観に寄り添った対応が、志望度の向上に直結している実態が浮き彫りになりました。
「魅力の伝え方の見直し」や「就活生との対話」といった企業側の歩み寄りが、就活生に安心感や共感を与え、実際の志望意欲の向上につながっていると考えられます。
本記事掲載以外の回答内容など、全データは本調査レポート(無料)にてご確認いただけます。
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近年の就活スタイルへの対策とは?
選考を通じて高まった志望度を維持することも、現在の採用活動における重要な課題です。

そこで、「採用活動の早期化により、内定から入社までの期間が長期化しているが、あなたの企業では内定辞退を防ぐためにどのような対策を行っているか」と尋ねたところ、『定期的な連絡(電話・メール・SNSなどでの状況確認)(46.6%)』と回答した方が最も多く、『内定者懇親会の開催(43.9%)』『先輩社員・現場社員との面談・座談会の実施(37.7%)』となりました。
「定期的な連絡」や「社員・同期との交流」を通じ、内定者の孤立を防ごうとする意図がうかがえます。
採用活動の早期化によって入社までの期間が長引く中、事務的な連絡や情報提供にとどまらず、継続的な関係構築によって入社前の不安を和らげることが重視されているようです。
ここで、新たな価値観の象徴とも言える、近年増加している『就活生の生成AI活用』に対して、企業はどのような対応をとっているのか見ていきましょう。

「就活生がエントリーシート等の作成に生成AIを活用しているケースに対し、あなたの企業ではどのような対策・対応を行っているか」と尋ねたところ、『グループワークや対面での実技テストなど、その場での評価を重視している(51.2%)』と回答した方が最も多く、『エントリーシート自体の評価比重(重要度)を下げている(39.4%)』『面接での深掘り質問を増やし、本人の言葉か確認している(38.0%)』となりました。
この結果から、書類上の文章だけでは、就活生の本来の思考力や人柄を正しく判断することが難しくなっている現状がうかがえます。
エントリーシートの重要度を下げ、その場での行動や「本人の言葉」を通じて直接見極めようとする傾向が見られ、AI時代においては、表面的な完成度よりもリアルタイムな反応やプロセスに評価の比重を移していることが推察されます。
約8割が「価値観の変化に対応できている」と評価。今後強化すべき施策は「自社の魅力の伝え方の見直し」がトップに
では、これまでの自社の取り組みを含め、採用活動全体として自社の現状をどのように評価しているのでしょうか。

「近年の就活生の価値観の変化を踏まえ、採用活動全体として自社の対応は十分にできていると思うか(情報発信・接点設計・選考プロセスなど)」と尋ねたところ、以下のような回答結果になりました。
『とても対応できている(18.6%)』
『ある程度対応できている(58.6%)』
『あまり対応できていない(20.1%)』
『全く対応できていない(2.7%)』
約8割が「対応できている」と回答し、若手社員へのヒアリングや情報発信の見直しなど、具体的な対策を積み重ねてきた成果がこの評価に結びついていると考えられます。
一方で、「対応できていない」と感じる企業も約2割存在しており、変化への適応スピードに差が生じている状況もうかがえます。
では、今後はどのような施策を強化すべきだと考えているのでしょうか。
就活生との価値観のギャップについて『とても感じる』『やや感じる』と回答した方に、「今の就活生の価値観やスタイルに合わせていくために、今後どのような施策を強化すべきだと考えるか」と尋ねたところ、『採用メッセージや自社の魅力の伝え方の見直し(45.6%)』と回答した方が最も多く、『SNSの活用(34.5%)』『採用サイトのリニューアル(33.6%)』となりました。
自社の魅力の伝え方や発信ツール(SNS・採用サイト)の改善は、一度行えば終わるものではなく、常にアップデートが求められる領域であるため、就活生の価値観が変化し続ける限り、伝え方のブラッシュアップは終わりのない課題であると考えられます。
採用活動には就活生の変化に合わせた継続的な改善が必要であり、いかに自社の魅力を正しく届け続けるかが、今後の採用活動の成功を左右するカギになると推察されます。
