仙台地方の食文化「仙台駄菓子」について紹介する特別展「仙台駄菓子と石橋屋」が現在、仙台市歴史民俗資料館(仙台市宮城野区五輪1、TEL 022-295-3956)で開催されている。
仙台地方で作られていた駄菓子92種類の「仙台駄菓子左右競べ大番付」
「仙台駄菓子」は、昔ながらの雑穀や水あめを使って仙台周辺で作られる駄菓子の総称。戦前から各地の駄菓子を調査し続けた仙台の駄菓子店「石橋屋」2代目、故石橋幸作さんの研究成果によって生み出され、昭和30年代に広まった。昨年5月に閉店した「石橋屋」から石橋さんが残した研究資料が同館に寄贈されたことから、同館の開館45周年と建物築150年を記念した特別展として企画した。
会場は、「駄菓子研究のはじまり~仙台の駄菓子とは~」「仙台の駄菓子たち~『お茶請け』駄菓子~」「駄菓子研究の成果~駄菓子を商う人々・模型となった駄菓子たち~」「駄菓子の研究の成果~『明治100年』の中で~」「駄菓子造りの道具~製菓道具のいろいろ~」「仙台駄菓子のお店~石橋屋の風景~」の6章で構成し、合わせて270点以上の資料を展示する。
石橋屋の敷地内に併設されていた資料室で展示されていた「しんこ細工職人」や「吹き飴(あめ)職人」「八百屋菓子売り」など駄菓子職人や行商人の姿を紙粘土などで再現した「駄菓子の職人模型」、仙台地方で作られていた駄菓子92種類を相撲の番付になぞらえてランキングした「仙台駄菓子左右競(くら)べ大番付」、色鮮やかに描かれたスケッチや駄菓子にまつわる心象的な風景画、石橋さんが亡くなる直前に描いた画集「駄菓子画譜」など。
粘土などで作られた「駄菓子模型」は、石橋さんが分類した「玩具駄菓子」「信仰駄菓子」「薬駄菓子」「道中駄菓子」「お茶請け駄菓子」に分けて紹介する。同館学芸室長の畑井洋樹さんは「石橋さんは、駄菓子が生活文化の中でどのように機能するのか、原材料や製法などによる分類ではなく、用途などから分類する独自の手法で駄菓子を分析し、駄菓子を民俗文化財として位置付けることに成功したと評価されている」と話す。干菓子や金花糖の型など石橋屋で使われていた製菓道具、石橋さんが執筆した本や冊子、講演や展示、テレビ・ラジオ出演の記録なども紹介する。
畑井さんは「仙台駄菓子に情熱を傾けていた石橋さんの気持ちを感じてもらいたい。そして仙台駄菓子を食べてみてほしい」と呼びかける。
開館時間は9時~16時45分(入館は16時15分まで)。月曜(祝日の場合は翌日)、休日の翌日(土曜・日曜・休日を除く)、第4木曜、12月28日~1月4日は休館。入館料は、一般・大学生=240円、高校生=180円、小中学生=120円。2025年4月13日まで。