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インタビュー2007-05-14

待望のメジャーデビュー「椿屋四重奏」
ボーカル・中田裕二が語る「メジャー」と「仙台」

2000年に仙台で結成された「椿屋四重奏」。インディーズシーンでも注目のバンドが5月9日、メジャー第1弾シングルをリリースした。その新たなスタートに際して中田さんが足を運んだのは、バンド結成の地、仙台。彼らにとってのホームタウン・仙台で中田さんに聞く、「仙台」のこと、「メジャーデビュー」のこと、そして「中田裕二」のこと。


■「何かと僕らは仙台を大事にしたがる」

— メジャーデビューシングルということで、まずはキャッチーな作品がくるのかと思っていたら、これぞ「椿屋」というサウンドでした。

中田 一般的にはポップでわかりやすい楽曲から入るのかもしれないけど、それは(選択肢に)なかったですね。今までのファンに対しての気持ちもあるし、これから知る人にも「LOVER」みたいな曲だと椿屋が一番わかりやすいんじゃないかと思って。インディーズ時代の集大成ともいえるストレートな1曲です。

— カップリングの「moonlight」ではまた別の側面を見せて、さらにライブ音源(※昨年12月31日に中野サンプラザで行われたカウントダウンライブ)の「プロローグ」と「トワ」。どれも違う「椿屋」が聴こえてきて、初めてのリスナーはその多様性に驚くかと。

中田 1曲だけ聴いて世界観を固められても困るからね。ウチらはやることに節操がないバンドですので。サンプラザのライブはバンドにとってターニングポイントとなる大事なライブで、しっかり入れておきたいなと。椿屋がどんなライブをするんだろうって興味を持つ人もいるだろうし。

— ライブといえば、これまで仙台では何度もライブを行っていますが、これからもそのスタンスは変わりませんか。

中田 もちろん、これからもやりますよ。何度だって。仙台では実際1年しか活動していなかったんだけど(※結成の翌年には東京へ活動の拠点を移している)、バンドが生まれた街だし、何かと僕らは仙台を大事にしたがる。完全にホームタウンですよ。

— 三大都市ツアーって言ったら普通……。

中田 そう、東京、大阪、名古屋なんだけどね。椿屋の場合は、東京、大阪、仙台になるんですよ。

— 仙台在住ではないはずなのに、いつも仙台に存在感を感じさせてくれるバンドです。それは意識してのことですよね。

中田 それはもう、仙台を背負ってやっているつもりで。仙台でやるっていう手もアリだとは思うけど、結局、ムーブメントって東京だと思うんですよ。椿屋が全国で成功して、実は仙台出身だって知られることに意味があると思う。「仙台」といえば「椿屋」と言われる存在になりたいと思ってやっています。

— 仙台でのライブはほかの会場とやはり違いますか。

中田 ぜんぜん違う!仙台は緊張するね。規模は東京のほうが大きいけど、それとは比べものにならないぐらい緊張します。せっかく地元のバンドを地元の人が応援してくれるのに、その顔に泥は塗れないっていうような。本当はあんまりそんなこと考えなくてもいいんですけどね。やっぱりどこかでそういうふうに思っちゃいますね。それくらい大事な場所なんです。

■「ふさわしい場所で堂々と活動していく」

— メジャーデビューに関しては。

中田 「メジャーデビューが目標だったんです!やった!」っていうのとはちょっと違うんですよね。

— これまでと別に変わらないということですか。

中田 いや、明らかに違う場所だとは思っています。ただ、メジャーだから何かが変わるっていうことではなくて、椿屋自体は今までと変わらないと。でも、メジャーに行かなきゃできないことがたくさんあるっていうのは3年間やっていて痛いほどわかったので、メジャーの力を借りるという感覚です。椿屋みたいなタイプのロックバンドは、ふさわしい場所で堂々と活動していくことが大事だと思いますね。

— メンバーの入れ替わり、3ピースでの活動(※昨年3月の安高さん加入時まで、椿屋四重奏は3ピースバンドだった)と、何かしらプレッシャーのかかる状況を歩んできて、今度はメジャーというプレッシャーを受けに飛び込んでいくようにも見えます。そういうことで椿屋はどんどん成長していくというか、これは中田さんの性格かもしれませんね……。

中田 そうかもしれない。ちょっとキツイぐらいがいいっていう。ホントは……Mなんだろうな。でも負荷をかけていくっていうのはすごく大事で、そうしたプレッシャーみたいなものがあってこそテンションを高く保てる、モチベーションを高く保てるっていう部分はあるかもしれない。

— メジャーという新たなスタートを迎えて、今はどこを見つめてますか。

中田 前……、上というより前ですね。前に続く道が平らに見えていても、それは緩やかな上り坂だと思うんです。それをずっと、とにかく走り続けることで、気がついたらかなり標高の高いところにいるんだろうなっていう意識ですね。以前は「とにかく上に上りたい」ってガムシャラだったんですけど、今はちょっと違うな。

■「俺は俺の表現を届けていくだけ」

— 目指している野望と普段のテンションが一致しないですよね、中田さんの場合。

中田 なんかね。熱いくせにすっごく冷めてる部分もあるのかもしれない。熱いことけっこう言ったりして、ファンのみんなはインタビュー記事読んだりすると「この人熱いなー」と思ってるだろうけど。でも、こうして話す機会があればわかると思うけど、実際には淡々とそれを言ってたりするんで……。

— さらっとした口調で大きなことを言う。

中田 自分で自分の気持ちに飲まれるのが嫌だなって。たまに飲まれるときもありますけど、なるべく客観的に面白がっていたいっていう気持ちがあるんです。自分がやっているプロジェクトのことを、お客さんとして楽しんでいたいというか。中田裕二がふたりいる感覚ですね。

— メジャーについて語っているコメントも、どこか客観的ですよね。

中田 どこかね。「実はお金のことが……」なんて言ってみたりするぐらい、変に冷静だったりするんですよね。

— では客観的に、これから「中田裕二」が作る音楽はどうなっていきそうですか。

中田 おもしろいと思ったことはどんどんやっていこうかなって気持ちですね、今は。もう何をやってもいいぞって。何やっても格好良くなったり、面白くなったりする自信はあるし。それを自分でも楽しんでいきたいと思うようになったんです。前の切羽詰まった感じとはずいぶん違いますね。

— それはいつ頃からですか。バッチグーさん(※ギターの安高さん)が入ったころとか。

中田 バッチグーが入ったのもあるし、この3年間でようやく自分の表現がつかめてきたっていうのが大きいですね。前はどこか頑張って、何かを借りてきてやっていた部分があったかな。イメージを借りてきて、「こういう風になりたい」とかね。憧れでやっていた部分がけっこう大きかったんだけど、そういうのがなくなっちゃいましたね。

— いい意味で、憧れる対象がなくなった。

中田 いい意味で、俺は俺の表現を届けていくだけっていうか。たくさんの人に俺の音楽を聴いてもらうだけだと思っています。

■「なんだ俺の歌詞っておもしろいじゃん!」

— ブログに「最近自分の書く歌詞がおもしろい」とありましたよね。あの言葉がすごく印象的でした。

中田 前は「テーマをまとめなきゃ」みたいなのがあったんですよ。あと、自分の素直な言葉で書くことに抵抗があって、その裏返しでああいう難解な言葉づかいをするようになっていたんです。

— それが中田さんの描く世界の特徴でもありましたが……。

中田 それだと聴き手に対して壁を一枚隔てた表現になるんですよね。何か突っかかっているような。それを取っ払って、歌詞が直接「ガン!」と刺さってくるような鋭い言葉を使いたいなと思うようになって。ある時から、自分が思ったことを素直にそのまま書くようにしたら面白くて。「何だ、俺の歌詞っておもしろいじゃん!」と。

— 今までとは違うものが書けるようになった?

中田 「かっこつけロマンチスト」みたいな歌詞もすごく得意なんですけど。それとはまた逆の、性格悪い腹黒な歌詞も書けることに気がついて、いろんな言葉遊びをしていきたいなって欲が出てきたんです。悪い女の子になってみたり、頼りない男になってみたり、すげー女たらしの男になってみたり。それを、自分のフィルターを通して書こうと。

— 自分の素直な言葉だから、中田さんの歌声に乗せるとさらに生き生きとしそうですね。

中田 そうなんですよ、本当に。書いたときに感じていたことを、思い通りに歌えるようなったというか。

— 3ピースのころはギター兼ボーカルということで、ギターのメロディーと詞と曲全体の一体感を重視していたような印象でした。4人になって、ボーカリストとして詞を書き始めたことも大きいのでは。

中田 そうですね。前はギターとボーカルの兼ね合いがあって、バランスを取らないといけない部分もあったけど、今はとらなくていいですからね。もうやりたい放題できます。

— これからさらに表現の幅も広がりそうですね。

中田 どんどん新しい世界が生まれてきそうで、自分自身、楽しみですね。どんどん壊して、また新しいもの作って。その繰り返しでおもしろいものを残していければと。

— その新たな世界の最初の1曲がこの「LOVER」ですね。

中田 とりあえず、この名曲「LOVER」から椿屋四重奏を知ってほしいですね。椿屋でしか体験できない世界が「LOVER」にあると思うので、ぜひその扉をくぐっていただきたいなと。

(2007年5月7日 仙台市内某所で)

椿屋四重奏

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