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仙台空港で震災10年メモリアルプロジェクト 歩み振り返り、支援に感謝伝える

設置された「復興空港ピアノ」と所有者の櫻井由美さん。「不思議なご縁で今ここにある。いろいろな人の手で奏でてもらい、震災のことを思っていただけるきっかけになれば」

設置された「復興空港ピアノ」と所有者の櫻井由美さん。「不思議なご縁で今ここにある。いろいろな人の手で奏でてもらい、震災のことを思っていただけるきっかけになれば」

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 仙台空港(名取市)で2月19日、復興支援への感謝を伝え災害の記憶、教訓を伝承する震災10年メモリアルプロジェクトが始まった。

開港からを振り返る常設パネル

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 2011(平成23)年3月11日、東日本大震災による津波の影響で滑走路を含むほぼ全ての施設が水没し、甚大な被害を受けた仙台空港。被災当時、ターミナルビル内は1階天井付近まで津波が到達し、ライフラインも寸断。浸水で孤立した空港には利用客や避難してきた地域住民、空港や関連施設のスタッフなど約1700人が取り残され、全員が退避するまでに6日を要した。

 自衛隊や米軍の懸命な復旧作業により、震災発生から約1カ月後の4月13日に国内線の一部運航を再開。7月25日には国内定期便の運航を震災前のレベルまで戻し、9月11日にターミナルビル3階と展望デッキの供用も再開した。震災発生から199日目となる9月25日には国際定期便が復活した。

 東日本大震災から10年を迎えるに当たり、運営会社の仙台国際空港が「国内外からの復興支援への感謝、国内唯一の津波被災空港として伝承すべき災害の記憶や教訓、地域の防災拠点として担う役割を伝えたい」とメモリアルプロジェクトを展開する。

 第1弾として19日、ターミナルビル1階センタープラザにストリートピアノ「復興空港ピアノ」を期間限定で設置。七ヶ浜町で津波をかぶりがれきの中に置かれていたグランドピアノで、復興支援で訪れていたシンガー・ソングライターMetisさんの目に留まったことがきっかけで修復作業につながり、約半年かけて演奏できる状態によみがえった。傷だらけの見た目から故・西城秀樹さんの名曲「傷だらけのローラ」にちなみ「ローラ」という愛称で呼ばれている。利用時間は6時30分~21時。時間内であれば誰でも見学・演奏できる。新型コロナウイルス感染予防対策として、マスク着用、演奏前後の手指消毒を求める。設置期間は3月12日まで。

 仙台国際空港航空営業部長の岡﨑克彦さんは「あれから10年の月日が流れようとしているが、新型コロナウイルスによる感染症の広がりという目に見えない静かな津波によって今、飛行機の発着回数はもちろん、お客さまの数も大幅に減少している。そうした中、国内で唯一津波の被害を受けた空港として、どういったメッセージを送り届けることができるか考えてきた」と話す。「震災からこれまでの、皆さんの歩みの振り返りや、コロナ禍の克服、大変寒かった今年の長い冬の終わりと春の到来、そういったことを祈りながら多くの方にこのピアノを弾いてもらいたい。ローラの美しい音色で元気や励まし、癒やしを多くの方に感じていただければ」と期待を寄せる。

 2月26日~3月14日はターミナルビル1階センタープラザで、被災から避難生活、復旧作業、暫定運用再開までの33日間の道のりを中心に仙台空港の復興の歩みを振り返る展示を行う。3月5日~14日はターミナルビル内各所で、国内外からの応援・復興支援に対する空港内事業者からの感謝メッセージや、復興への思いを描いた手作り絵灯籠を展示する。3月11日は仙台空港に就航している国内線航空会社ほか関係機関が合同で、支援への感謝を込めて見送り、出迎えを行う。

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