「希望の丘醸造所」(岩沼市)が12月20日、「JRフルーツパーク仙台あらはま」(仙台市若林区荒浜新2)と共同開発したクラフトビールの提供を始めた。
希望の丘醸造所は、牛たん専門店の運営や牛たん加工食品の製造販売を手がける「利久」(岩沼市)が本社工場の隣接地に新設し、昨年5月に稼働を始めたクラフトビール醸造所。JRフルーツパークあらはまは、荒浜地区の集団移転跡地に2021年3月に開業した体験型観光農園で、「仙台ターミナルビル」(仙台市青葉区)が運営する。
今回のビールは、JRフルーツパークあらはま仙台で収穫された果物のうち、味や糖度に変わりはないが、脱粒したものや、色付き・形が悪く生果での販売に向かないものを活用し、フードロス削減にもつなげる目的で開発した。仙台ターミナルビル戦略推進部の佐藤啓央さんは「両社が連携し、補い合うことで地域の復興、振興が促進すると考えた。宮城を代表する商品を作り、宮城の魅力を各地で発信することで、地域のさらなる活性化に寄与したい」と話す。
第1弾として2種類を展開。「ARAHAMA BLANC(アラハマブラン) シャインマスカット IPA」は、シャインマスカットと希少ホップとされる「ネルソンソーヴィン」をふんだんに使うことで、白ワインのような爽やかな香りとすっきりした飲み口が特徴という。アルコール度数は4.5%。「ARAHAMA ROUGE(アラハマルージュ) ぶどうレッドエール」は、複数種類のブドウ(ピオーネ、クインニーナ、オリエンタルスター)を使い、「風味・香りが豊かで芳醇(ほうじゅん)かつ飲み応えのある」レッドエールに仕上げた。アルコール度数は7.0%。どちらもワイン酵母を一部使い、ワイン製法を一部導入することでワイン酵母由来の奥深さを表現したという。
希望の丘醸造所醸造長の大平洋介さんは「両社の強みを最大限に生かしたおいしい楽しい商品ができた。ブラン、ルージュでキャラクターが全く違うビールに仕上がっているので、飲み比べしてほしい。それを機に東日本大震災当時の話をしてもらい、風化させないきっかけにもなれば」と話す。
いずれも330ミリリットル瓶入りで、価格は770円。利久が運営する各店とホテルメトロポリタン仙台ではドリンクメニューで提供する。JRフルーツパーク仙台あらはま直売所とECサイト「JRE MALL」では瓶入りの販売を行う。