東北歴史博物館(多賀城市、TEL 022-368-0106)で現在、秋季特別展「みちのくのサムライたち-東北武士の系譜-」の後期展示が行われている。
平安時代における武士の誕生から中世、政治・経済・文化の中心的存在として大きな影響を与えた近世大名まで、東北における武士の歴史を追うことで、日本史における武士の存在と、現代に与えた影響を考察する内容。東北地方で活躍した武士の歴史を、刀や太刀、書状や甲冑(かっちゅう)などを通して紹介する。
会場は、「東北武士の誕生-日本刀の誕生の流れとともに-」「中世東北の武者の世」「みちのくの近世大名-乱世から泰平の世へ-」の3章で構成。国宝14点、国重要文化財31点を含む約100点の史料を2期に分けて展示し、11月1日に後期の展示が始まった。
主な展示物は、「陸奥国玉造郡年貢結解状(けちげじょう)」「定有書状」(以上、称名寺所蔵・神奈川県立金沢文庫管理、国宝)、「徳川秀忠書状」(米沢市上杉博物館所蔵、国宝)、「金梨地菊・竹に雀(すずめ)紋蒔絵(まきえ)糸巻太刀拵(こしらえ)」(塩釜神社所蔵、国重要文化財)など。伊達政宗公が描いた絵画「達磨(だるま)図」と「梅に小禽(しょうきん)図」(以上、個人蔵)も今回初めて展示された。
「今に残る侍文化の一つ」として「日本刀の歴史」もテーマとして掲げ、「金銅装圭頭大刀」(東松島市教育委員会所蔵)、「太刀 銘 助真(すけざね)」(岩手県立博物館所蔵、国重要文化財)、「刀 銘 宝寿」(岩手県立博物館所蔵)、「太刀 銘 備前国長船住真長」(もりおか歴史文化館所蔵)、「刀 銘 奥州舞草友長」(岩手県立博物館所蔵)、「太刀 銘 来国光」(塩釜神社所蔵、国重要文化財)など、刀や太刀も多く展示する。
担当学芸員によると、同館は年配の来館者が多い傾向にあるが、今回は小学生から大学生までの学生や20代、女性も多く来場しているという。「刀剣や甲冑など武器・武具を多く展示していることから侍の精神性、特に『武』の心を感じてもらうとともに、政宗の描いた絵画や詠んだ和歌なども展示しているので、文化人としての内面性も同時に感じてもらえれば」と話す。
開館時間は9時30分~17時(発券は16時30分まで)。月曜休館。観覧料は、一般=1,200円、65歳以上=1,100円、小中高生=500円。11月27日まで。