重度身体障がい者がロボットを遠隔操作し接客を行うICT(情報通信技術)在宅農福連携実証実験が7月7日、仙台三越本館(仙台市青葉区一番町4、TEL 022-225-7111)7階ギフトセンター会場で始まった。
人材確保を含む農業の振興と障がい者就労をICTで同時に解決することを目指し、宮城大(大和町)、オリィ研究所(東京都中央区)などが行う産学連携プロジェクト。昨年12月2日~6日に行われた実証実験に続く2度目で、今回は「単に遠隔就労が実現できるかにとどまらず、持続可能な取り組み体制の構築に向けた、百貨店をプラットフォームとした地域ブランド販売モデルの検討」(宮城大)を目的に行う。
障がい者が「パイロット」となり、オリィ研究所が手掛けるロボット「OriHime(オリヒメ)」をタブレット端末で遠隔操作し、自宅で接客に当たる。今回は東京、島根、三重、熊本、広島に住む6人が1時間交代で、伊豆沼農産(登米市)の「伊豆沼ハム ソーセージ詰め合わせ」(3,240円)と、石越醸造(同)の「澤乃泉 特撰セット」(4,290円)の中元ギフト2商品をPR。「いらっしゃいませ」など声掛けし、商品について説明するほか、客からの質問にも答える。
パイロットの6人は実証実験に先立ち、製造過程や産地、特徴など商品についてと、客への声掛けや商品説明のポイントなど接客応対について、オンラインで事前研修を受けた。三重県で接客に当たった柳田幸樹さんは「大勢のお客さまと交流できるので気持ちが高揚している。緊張もするが、お客さまと会話することがすごく楽しい」と感想を話した。「これまで就労の選択肢が限られていたが、オリヒメを使うことで就労の幅が増えるのではないかと強く感じている。まだ実験段階だが、これが当たり前のようになって、希望する人誰もが遠隔操作で働けることにつながれば」と期待を寄せる。
実証実験を担当する宮城大食産業政策研究室の作田竜一教授は「今は実験だが、これを持続可能な取り組みにしていくことが非常に大事。一つ一つの課題をクリアしていくことが私たちの務めでもある。農業の分野と障がい者の分野の両面に多くのメリットがあるこの取り組みを何としても実現するために、引き続き頑張っていきたい」と意気込む。
実施時間は10時~13時。今月11日まで。