「武田の笹(ささ)かまぼこ」(塩釜市)が9月に発売した缶詰「canささ 笹かまアヒージョ」が現在、好調な売れ行きを見せている。
オリーブオイル漬けの笹かまとニンニク、マッシュルームが入った缶の中身
1935(昭和10)年創業の同社は、漁をした船の上で生産する洋上すり身と塩釜の地酒「浦霞」を使い、伝統の石臼製法で練り上げた「風味豊かな味わいと食感」の笹かまぼこを製造・販売。日本の伝統食であるかまぼこの消費が年々減少している中、「笹かまぼこの新しい食べ方」を提案し、若い世代にも気軽に楽しんでもらえる商品開発に取り組んでいる。
9月1日に販売を始めた新商品「canささ 笹かまアヒージョ」は、小ぶりな笹かまぼことオリーブオイルとタカノツメ、ニンニク、マッシュルームを使ってアヒージョに仕上げた缶詰。内容量は150グラム(固形量90グラム)で、保存可能期間は3年。製造は石巻市の水産加工業「木の屋石巻水産」が行う。
武田の笹かまぼこ社長の武田武士さんは「東日本大震災を経て、より日持ちがして常備できる方法がないか模索していた。一方で笹かまぼこには日本酒を合わせるというイメージがある中、ワインに合わせて食べるという概念をつくり、そのターゲット層も取り込み新たな市場をつくり上げていきたいという思いもあった」と経緯を話す。
新型コロナウイルス感染拡大の影響による外出自粛や家飲み需要などで長期保存が可能な缶詰への注目が集まる中、県内の水産加工業仲間として縁のあった木の屋石巻水産の商品「くじらのアヒージョ」にアイデアを得て相談し、宮城らしいコラボ商品として共同開発を行うことになった。笹かまぼこを使った缶詰は、「笹かま業界としても初」だという。
「白身魚を使ったアヒージョもあり、自社商品の笹かまぼこも原料はスケソウダラがメインなので合うかなと思った」と武田さん。「秋保ワイナリー」などの助言も得て、「アヒージョとなじむ食感とオイルに負けない笹かまの風味を出すために焼き加減の調整し、さらにオイルの配合も変え絶妙なバランスを生み出した」とも。
試作を繰り返し、約1年の歳月をかけて完成。発売から1カ月半がたち、「売り上げの計画数字は非常に控えめに考えていたが、その10倍程度売れている」と武田さん。購入者の反応も好評で、リピーターも増えているという。
「そのままでもおいしく召し上がれるが、スキレッドやフライパンに移し温めていただくと風味が際立つ。お好みでジャガイモやパプリカなどを加えるとボリューム満点のおかずにもなる。パスタと絡めてもおいしい」。今後はラインアップの充実を図り、さまざまな酒とのマリアージュを楽しめる商品構成にしていきたいという。「今まで笹かまぼこにあまりなじみのなかったお客さまにも本当の笹かまぼこのおいしさを伝えていきたい」と意気込む。
内容量は150グラム(固形量90グラム)。価格は980円。「武田の笹かまぼこ塩釜本店」「武田の笹かまぼこエスパル仙台店」のほか、仙台駅構内の売店・土産売り場、県内のサービスエリア、道の駅などで取り扱う。