1695年創業の老舗和菓子店「元祖 仙台駄菓子本舗 熊谷屋」本店(仙台市青葉区木町通2、TEL 022-234-1807)で現在、疫病退散のご利益があると伝わる妖怪「アマビエ」をあしらった商品が販売されている。
伝統菓子「仙台駄菓子」をはじめ、「ごまっこゆべし」や「くるみゆべし」、季節の生菓子などを製造販売する同店。10代目店主の熊谷典博さんはこれまで、アニメ「Wake Up, Girls!」とのコラボ商品、仙台・宮城観光PRキャラクター「むすび丸」や動物、花、季節の風物詩を題材にした上生菓子など、伝統の味を守り続けながら新しい試みに取り組んできた。
仙台駄菓子は土産物や贈答品で使われることが多く、新型コロナウイルス感染拡大防止による外出自粛やイベント中止により在庫がだぶついた。「フードロスをできるだけ減らしたい」と4月20日、通常600円相当の仙台駄菓子を詰め合わせた「アマビエ駄菓子セット」(324円)を発売した。
新型コロナ終息の願いを込め、パッケージにはアマビエの疫病退散のシールを貼り付けた。アマビエのイラストを描いたのは熊谷さんの妻。熊谷さんは「自分で描いたものが没になり、たまたま妻が描いた落書きっぽい絵がかわいかったので、色を付けてシールにした」と話す。
23日にはアマビエをモチーフにした上生菓子(250円)の販売を始めた。「SNSでほかの和菓子屋さんが作っていたのを見てうちでも作りたいなと思っていたが、いいデザインが思い浮かばなかった。シールのデザインがかわいいキャラクターだったので、それをモチーフにして試作したらうまくできた」という。
こしあんを練り切りで包み、アマビエの形に細工した上生菓子で、改良を重ねて現在の姿になった。「髪の毛を表現するのがうまくいかず試行錯誤した。目の部分はようかんをくりぬいて作っていたが、チョコペンのようにようかんを流し込むことで丸く光沢のあるかわいらしい目になった」と熊谷さん。「ステイホームで家にいる中、甘いものを食べて落ち着いた気持ちになってもらえたら」と話す。
短縮営業中で、営業時間は9時~17時。現在、仙台市中心部(北は泉中央、南は五橋くらいまで)を対象に宅配サービスを行っている。1,000円以上の購入で利用できる。