仙台市中小企業活性化センター(仙台市青葉区中央1、アエル5階)多目的ホールで2月4日、「SENDAI for Startups! ビジネスグランプリ2018」のファイナルイベントが行われた。
仙台・宮城での事業化を目指す起業家の事業プランを募集・表彰する「SENDAI for Startups! ビジネスグランプリ」。仙台市や仙台市産業振興事業団などから成るせんだい創業支援ネットワークが「日本一起業しやすいまち」実現を目指す取り組みの一環として2015年から毎年行っている。
今年は33件の応募が寄せられ、書面審査・面接審査を通過した10事業者がファイナルイベントに出場。会場には仙台ですでに事業を営んでいる人や起業に関心のある人、ファイナリストの関係者など140人が訪れた。
初めに日本初の託児機能付きオフィスを手掛けるママスクエア(本社=東京都港区)社長の藤代聡さんが講演を行った。リクルートのグループ企業を退職後、親子カフェ「スキップキッズ」の運営を経て、2014年に同事業を始めて現在まで国内に19施設を展開している藤代さん。事業を立ち上げるまでの入念な市場分析、融資を受ける際の説得材料となった緻密な計算、多額の出資を引き出すに至った事業への思い、起業してからの「落とし穴」など、具体的な数字を交えながらエピソードを披露し、起業や事業発展を目指す人たちに実践的なアドバイスを送った。
その後、ファイナリストによる公開プレゼンテーションが行われ、1人5分の持ち時間で事業や商品の優位性をアピール。来場者は熱心に耳を傾け、思いのこもったプレゼンに深くうなずく姿も見られた。
審査の結果、グランプリ大賞には、若林区荒井地区で地域包括ケアの拠点となる多世代交流複合施設「アンダンチ」の開設・運営を進めている「未来企画」(仙台市若林区)が輝いた。賞を受けて同社の福井大輔社長は「自分の企業一つではなし得ないことだと思っているので、いろいろな方に関わっていただきながらまちづくりに貢献していきたい」と話し、「この賞を汚さぬよう精いっぱい取り組んでいく」と意気込んだ。
優秀賞は、圧電材料のイノベーションで日本のものづくり復活を目指す東北大学発のベンチャー「Piezo Studio」(青葉区)、音楽と食とロボットの活用で共生社会の実現を目指す「ゆらリズム」(泉区)が受賞。来場者の投票で決めるオーディエンス賞にも未来企画が選ばれた。
審査委員長を務めた東北大学大学院経済学研究科の福島路教授は総評で「少子高齢化が進むいまの社会を反映したビジネスプランが多かった」と傾向を話し、受賞者には「これを第一歩に、胸を張って今後のビジネスを発展させていってほしい」と呼び掛けた。