東北帝国大（現東北大）で日本初の女子大学生が誕生して110周年を迎えたことを記念したビールが現在、酒量販店「やまや」（仙台市）の各店で販売されている。

　1913（大正2）年8月、日本初の女子大学生となったのは黒田チカ、牧田らく、丹下ウメの3人。東北大によると、当時の日本では大学への女子の入学が認められておらず、文部省（当時）から本当に入学を許可するのかと問いただす文書が送られるなど、社会に大きな波紋を引き起こしたという。

　それから110周年を迎え、今回、東北大農学部卒業の鈴木成宗さんが社長を務める二軒茶屋餅角屋本店（三重県伊勢市）のクラフトビールブランド「伊勢角屋麦酒（ビール）」とコラボし、オリジナルラベル商品が完成した。

　同ブランドの銘柄「ヒメホワイト」は、鈴木さんが自ら伊勢市内で採取したという野生酵母「KADOYA-1」で仕込んだベルジャンホワイトエール。アルコール度数は5％で、「すっきりとした後味とユズの香りが女性の方から支持され続けている」（同社）という。ラベルには、「自分の信じる道を進む芯のある女性」をテーマに、東北大経済学部卒業のイラストレーター・凪（なぎ）さんが描き下ろしたイラストをあしらった。

　東北大総務企画部基金・校友事業室特命課長の小玉亨さんは「本学卒業生の鈴木社長が手がける伊勢角屋麦酒の和のホワイトビール『ヒメホワイト』と、同じく卒業生の凪さんのイラストを掛け合わせ、日本初の歴史を切り開いた東北大の女子学生の芯の強さが表現された商品になった」と話す。

　8月26日に仙台の百貨店「藤崎」で先行販売したところ、用意した200本は即日完売したという。やまやでは東北、関東エリアの93店舗で9月2日から順次販売開始。計1500本を用意しているが、「完売した店舗も複数あると聞いている」と小玉さん。

　「日本で初めての女子大生が東北大で誕生したことを改めて広く知ってもらうきっかけになれば。仙台・東北で学び育った人々の手で作り上げられた商品として、多くの方に手に取ってもらいたい」と期待を寄せる。

　330ミリリットル瓶入りで、価格は583円。売り上げの一部を東北大の「ダイバーシティ・エクイティ＆インクルージョン（DEI）推進基金」に寄付し、年齢・性別などを問わず多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮できるための環境整備などに活用するという。