昨年3月に亡くなった映画監督、青山真治さんの作品の特集上映が2月25日・26日、仙台市青葉区のせんだいメディアテーク(春日町)で行われる。主催は同施設と仙台短篇(たんぺん)映画祭実行委員会。
青山さんは1964(昭和39)年生まれ、福岡市北九州市出身。1996(平成8)年に「Helpless」で長編映画デビューを飾り、2001(平成13)年には役所広司さん主演で、実の兄と妹の宮崎将さん、宮崎あおいさんがきょうだい役を務めた「EUREKA ユリイカ」でカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞・エキュメニック賞(キリスト教関連団体から贈られる賞)を受賞。劇場作品だけでなくドキュメンタリーなど幅広い映像作品を手がけ、音楽家や小説家、舞台演出家としても作品を残し、教育者として後進の育成に寄与した。昨年3月21日に食道がんで逝去。享年57。
「EUREKA ユリイカ」が公開された年に開館したせんだいメディアテークや、同年に始まった仙台短篇映画祭を通して仙台との関わりも深い。2006(平成18)年には音楽批評家、間章の7時間23分に及ぶドキュメンタリー映画「AA」が東京での公開に先駆け、定禅寺ストリートジャズフェスティバルの時期に合わせて仙台でプレミア上映された。
せんだいメディアテーク学芸員の小川直人さんによると、これまで大規模な追悼上映の機会がなかったことから、ゆかりのある仙台での特集上映を企画。権利関係も含め多くの関係者の協力を得て開催にこぎ着けたという。同施設にとっても特集上映企画は2011(平成23)年以来で、東日本大震災後初めてとなる。
プログラムは、「EUREKA ユリイカ」のほか、三上博史さん主演、青山さんの妻で女優のとよた真帆さんが出演する「月の砂漠」、永瀬正敏さん主演の「私立探偵濱マイク 名前のない森[映画版]」など全5プログラム9作品。「EUREKA ユリイカ」は音楽ライブ用の音響セッティングを使って大音響で上映する「爆音上映」で、上映後には映画評論家の樋口泰人さんと編集者・映画ライターの月永理絵さんによるトークセッションがある。
開催に併せ、フォーラム仙台(木町通2)でも24日~3月9日に特集上映を行う。上映作品は、故三浦春馬さん、榮倉奈々さん、小西真奈美さん、井川遥さんらが出演する「東京公園」、田中慎弥さんの芥川賞受賞作を菅田将暉さん主演で映画化した「共喰い」、多部未華子さん主演で青山さん最後の劇場長編作となった「空に住む」など7作品。
小川さんは「初期のフィルム作品からデジタル作品まで、この期間に仙台を訪れると、仙台に縁のある青山監督の作品を一度に見ることができる。今では配信で見られる作品もあるが、青山監督は大きいスクリーンで見るべき作品、見るかいのある作品を数多く残してきた。大きな画面で見てこそ分かる絵作りが世界的にも評価されており、音楽家として音に対してもこだわりがあった。この機会にスクリーンで見てほしい」と話す。