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ビジュアルデザインスタジオWOWの「いのりのかたち」展、宮城大で一般公開

「いのりのかたち」展、10月31日の一般公開の様子

「いのりのかたち」展、10月31日の一般公開の様子

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 仙台と東京を拠点に映像制作や空間演出を手掛けるビジュアルデザインスタジオ「WOW(ワウ)」による「祈り」をテーマにしたプロジェクト「いのりのかたち」の企画展が11月6日・7日、一般公開される。会場は宮城大学大和キャンパス(大和町)デザイン研究棟1階オープンスタディ。

「やまのかけら」の展示

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 WOWはこれまで、東北の郷土芸能をモチーフにした「BAKERU」、山形県米沢市に伝わる木彫り玩具をモチーフにした「ぽっぽの森」、こけしをモチーフにした「YADORU」など、東北の地域性をテーマにした作品を制作してきた。

 「いのりのかたち」は、太古から時代、地域を問わず行われ、芸能や祭り、工芸、風習、食事、建築などあらゆる形を通して生活に浸透し受け継がれてきた「祈り」を現代的な表現で見つめ直そうという試み。WOWプロデューサーの稲垣拓也さんは「仙台スタッフが集まってそれぞれの興味関心を出し合う会議を重ね、多種多様な興味のキーワードを俯瞰(ふかん)して眺めて、浮かび上がったのが『祈り』というテーマだった」と振り返る。

 4つの伝統的な祈りの形態に着目し、リサーチやフィールドワークを重ね、WOWの持つ表現技術と独自の解釈により実験的な4作品を作り上げた。神社の神事である大祓(おおはらえ)で使われる「形代」と「茅(ち)の輪くぐり」をモチーフにした「うつし」、伝統的な染めの技法をモチーフにした「文様」、石を山々のかけらと見立てた「やまのかけら」、酒をテーマにした「めぐみ」。

 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、インスタレーションは今回の展示を前に非公開で展示し、その作品体験を撮影。フィールドワークの様子や制作過程の様子を交えた動画を会場で流し、解説パネルや関連するプロダクトと共に展示する形を取った。4月23日から10月29日まで段階的に展示を進め、学内限定で公開。併せてウェブサイトでも映像やテキストを順次公開してきた。

 新型コロナ感染者数が急速に減少した状況を受け、10月30日・31日に初めて一般公開を行った。来場した仙台市の40代女性は「実際にインスタレーションを体験できないのは残念だったが、映像や解説を通して作品の概要や背景を知ることができた。これまで意識しなかった普段の生活の中にある祈りについて考えた」と話していた。

 稲垣さんは「祈りという実体のない行為を伝えるために、昔から人々はさまざまな形に意味を持たせ、媒体として使ってきた。このプロジェクトが、私たちの身の回りに今なお存在する文化に思いを巡らせ、その意味を考えるきっかけになれば」と話す。

 開場時間は10時~17時。入場無料。

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