仙台出身で「みそソムリエ」の安岡歩さんが立ち上げた「ドットミソ」(東京都渋谷区)が、全国各地の老舗蔵のみそを使ったみそ汁を食べ比べできる「味噌玉(みそだま)道中 日本旅セット」の販売を始めて1カ月がたった。
安岡さんは「個食や食の多様化が進み、みそ汁が食卓にない家庭が年々増えている中で、心と体を元気にする日本のソウルフードであるみそ汁習慣を広めていくこと」を目標に、2020年11月に起業。クラウドファンディングで資金を調達し、今年3月に自社サイトでみそ玉の通販を始めた。みそ玉は生みそにだしや具材をまぜ込み球状にしたもので、お湯を注ぐだけで手軽にみそ汁が出来上がる。
安岡さんは「みそは種類によって色、味、匂い、食感が異なり、同じ材料・同じ地域の土地や水を使っても家や蔵にすんでいる菌がそれぞれ違うので、スイーツのように甘かったり、色が真っ黒だったりと各家庭・各みそ蔵で全く異なる」と話す。その奥深さや面白さを知ってもらおうと、同セットを開発した。
セットに含まれるのは、山形屋商店(石巻市)の「吟醸みそ(米みそ)」を使った「仙台みそ玉」、萬年屋(長野県松本市)の「極味(米みそ・味噌玉造り)」を使った「米みそ玉」、南蔵商店(愛知県武豊町)の「里の味(豆みそ)」を使った「豆みそ玉」、やさか共同農場(島根県浜田市)の「有機やさか白味噌(米みそ)」を使った「白みそ玉」、山内本店(熊本県菊陽町)の「まぼろしの味噌 熟成麦(麦みそ)」を使った「麦みそ玉」の5種類。「違いが分かりやすく出る、特色のあるみそ蔵をピックアップした。100年以上の歴史を持つ老舗がほとんどで、昔ながらの伝統的な製法で、その土地で作られた原材料を使っている」という。
自家製のかつおだしをまぜ込み、「麹や製造方法の異なるみその多彩な味をしっかり味わえるように」と、具材はネギのみとした。賞味期限は冷蔵保存で2カ月、冷凍保存で3カ月。
仙台で暮らしていた頃は当たり前のようにみそ汁を飲んでいて、「いかに仙台みそがおいしいか上京するまで気付かなかった」という安岡さん。今回の「仙台みそ玉」に使う山形屋商店の「吟醸みそ(米みそ)」について、「じっくりと熟成され、塩気の中に凝縮された大豆のうま味を感じることができる」と話す。「山形屋商店さんは東日本大震災で建物が全壊するなど、困難を乗り越え、伝統を守り続けるだけではなく新しいチャレンジを続けている。その熱意や挑戦の姿勢に共感し、思いの詰まったみそを全国に届けたいと思った」とも。
8月12日の販売開始から1カ月がたち、「売れ行きは好調で問い合わせも増えている」という。安岡さんは「みそ汁があまり好きではない、なじみがないという方にも自信を持ってお届けできる商品。みそ汁は好きだが時間がなくて作れない、インスタントみそ汁を飲んでしまうという方にも、みそ玉という昔ながらの優れた知恵があることも知ってもらえれば」と呼び掛ける。
価格は、5県15個セット=2,500円、3県9個セット=1,500円(以上、送料別途)。