宮城県内、仙台市内における新型コロナウイルスの感染者急増を受け、村井嘉浩知事と郡和子市長が3月18日に共同会見を行い、独自の緊急事態宣言を発した。期間は4月11日まで。
県内の感染者数は3月17日、過去最多となる107人を記録し、直近1週間における人口10万人当たりの新規感染者数の割合が東京都を上回った。18日も98人に上り、「仙台市で急激に患者が増え、市の保健所の能力を超える状況になっている。仙台市からいろいろなところにうつっていってしまっている。これを早く断たなければ大変なことになってしまう」と村井知事。
県では現在、新型コロナ感染者用に確保している病床241床に対して入院者は70人で、使用率は29%。重症者用は22床に対し4人で18%。「救いはまだベッドに空きがあることだが、このまま患者が急激に増え続けるとあっという間に埋まってしまう」と危機感をあらわにする。
さらに3月に入って業種・業態を公表するに至った店舗や施設・事業者の数がすでに24件、クラスター(感染者集団)も9件に上っている状況を鑑みて今回、宮城県・仙台市は独自の緊急事態宣言を発出。小中高校の入学式が終わる4月11日までを期限とした。新型コロナ対策特別措置法には基づかない宣言だが、村井知事は「同じくらい重いものだという意識を持っていただきたい」と訴える。
宣言に伴い3つの緊急対策を打ち出した。「感染抑制対策」として、県全域で不要不急の外出や移動の自粛など県民・市民に向けて実効性のある対策の徹底を要請し、飲食店および利用者への呼び掛けを強化。「早期発見と感染拡大防止対策」として繁華街における集中的なPCR検査を実施し、1都3県の緊急事態宣言解除後に行われるモニタリング検査を宮城県でも行うほか、高齢者施設における検査体制強化、仙台市保健所の体制強化を図る。
3つ目に示したのが「営業時間短縮要請に向けた機動的な発動」。今後、これ以上の病床逼迫(ひっぱく)となった場合、飲食店に対する営業時間短縮の協力要請を速やかに行うとした。村井知事は「厳しい状況になったならばためらうことなく瞬時に時短要請を行う。事業者の皆さんのことを考えると、できればしたくないが、このままいくと県民の皆さんの命に関わる事態に陥ってしまう。命か経済かと言われると命を優先せざるを得ない」と胸中を吐露。「どうか県民の皆さん、この緊急事態をしっかりと認識していただきご協力をよろしくお願い申し上げたい」と力を込める。
郡市長も「営業時間短縮の要請は1年以上に及ぶこのコロナとの戦いで疲弊している地域経済にとっては受けるダメージも大変大きく、できる限り避けたい。一人一人の行動がこの危機的状況を打開するための鍵であることを強く心にとどめていただきたい」と重ねて訴えた。