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仙台のリフォーム業「タゼン」がせり鍋専用銅鍋 祖業生かし食と文化を次代へ

8日に開かれた商品発表会。「仙臺銅壺」で作ったせり鍋が振る舞われた

8日に開かれた商品発表会。「仙臺銅壺」で作ったせり鍋が振る舞われた

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 仙台でリフォーム事業を手掛けるタゼン(仙台市青葉区一番町1)が創業記念日の11月8日、仙台名物「せり鍋」専用の銅鍋「仙臺銅壺(せんだいどうこ) せり鍋」の受注販売を始めた。

1人用から6人用まで6サイズを用意する「仙臺銅壺」

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 1596年創業の同社の祖業は銅製品で、伊達政宗公に腕を見込まれた御銅師(おんあかがねし)・田中善蔵が大阪から仙台に招かれたのが始まり。当初は神社仏閣の装飾を作るのが中心だったが、時代がたつにつれ市民の生活に密着した銅製品を作るようになったという。現在はキッチンや風呂などのリフォーム事業を中心に、銅製品のオーダーメードやメンテナンスも行っている。

 初代の志を継ぐ銅(あかがね)製品の開発・販売にもあらためて注力し、新たなチャレンジとして今回、せり鍋専用銅鍋を開発した。同社副社長で御銅師の田中善さんは「タゼンは政宗公が城下町を作り始めた時から仙台で銅を打ち続けており、仙台せりも同じ頃から食されていて、せり鍋には以前から共感を覚えていた。御銅師の技術で仙台にもっと貢献したいと考えたとき、最初に思い浮かんだのがせり鍋だった」と振り返る。

 鍋の形は、だしに熱が素早く満遍なく回り、沸騰しても具材が中心に偏ることがない浅型の正方形。「銅鍋は熱伝導が良いことで知られており、特にセリなど青菜との相性抜群で、きれいな色味に仕上がる」と田中さん。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、大きな鍋で取り分ける従来の形式から「個食」に対応した1人用鍋のニーズが高まっていることを受け、1号(1人用、5寸角)~6号(6人用、一尺角)まで6サイズを展開する。

 名取市のセリ農家や仙台市内の料理人の協力、仙台市産業振興事業団の「商品づくりチーム支援」を得て完成にこぎ着けた。「多くの方の応援があったからこそ完成した。地域の食や銅製品の文化を次代に伝える一助となれば」と田中さん。「仙台名物の新しい楽しみ方を提案することで、新型コロナウイルスの影響で経営が悪化する飲食業界の活性化にも取り組みたい」と意気込む。

 受注販売のほか、価格や定期的なメンテナンスの必要性、オフシーズンの保管などの観点から飲食店向けのレンタル(1年契約)も行う。販売価格は、1号=3万6,000円、3号=6万円、6号=9万6,000円など。レンタル価格は、1号=年間1万2,000円、3号=同2万円、6号=同3万2,000円など。特製木ぶたも別途販売する(価格は未定)。問い合わせはタゼン卸町銅工場(TEL 022-284-1641、9時~17時30分)で受け付ける。

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