甲子園球場(兵庫県西宮市)で8月20日、第97回全国高校野球選手権大会の決勝戦が行われ、仙台育英学園高校(以下、仙台育英)を応援する市民で仙台が大きく沸いた。
1915(大正4)年の第1回大会(前身の全国中等学校優勝野球大会)から今年で創設100年の節目を迎えた同大会に、仙台育英は宮城代表として2年ぶり25回目の出場を果たした。
1回戦で明豊(大分)、2回戦で滝川第二(兵庫)を破り、3回戦では花巻東(岩手)、準々決勝では秋田商(秋田)との東北対決に勝利。19日に行われた準決勝では早稲田実業(西東京)に7対0で快勝し、1989年の第71回大会以来26年ぶりの決勝進出を決めた。決勝の相手は、45年ぶり2度目の全国制覇を狙う東海大相模(神奈川)。
仙台育英の活躍を市民一丸となって応援しようと、市内中心部商店街の百貨店前には街頭テレビが設置された。13時に試合が始まると、通りを行く市民や観光客が足を止め、選手たちの一投一打を真剣なまなざしで見守った。
3対6の3点ビハインドで迎えた6回裏、仙台育英の佐藤将太選手が走者一掃の三塁打を放ち同点に追い付いた場面では、この日一番の歓声が商店街に響いた。その後、9回表に東海大相模が勝ち越しの4点を入れ、試合はそのまま6対10で終了。東北勢悲願の初優勝にあと一歩及ばなかったが、選手たちの健闘に市民からは惜しみない拍手が送られ、「おつかれさま」とねぎらいの言葉が上がった。
仙台市内と利府から来たという女子高校生の2人組は「6回に同点になった時は鳥肌が立って涙が出て来た。本当に格好良かった」と興奮冷めやらぬ様子で話した。藤崎百貨店前で応援していた市内に住む40代女性は「非常に残念。絶対勝つと思っていた。3年生はこれから社会に出ると思うが、この経験をつないでいってほしい」と期待を寄せる。