宮城県内で新たなご当地ヒーロー「破牙神(バキシン)ライザー 龍」のプロジェクトが進んでいる。
ヒーローキャラクターのスーツアクター・アクトレスやMCをはじめ、ヒーローショーに携わった経験のある会社員、主婦など20~40代の11人の有志が立ち上げた同プロジェクト。きっかけとなったのは、震災後に子どもたちから聞いた「ヒーローに会いたい」という声だった。版権などの問題でヒーローショーを実現することはできなかったが、「子どもたちなりに我慢してきた中での声だと思うと動き出さずにはいられず」(広報・MC担当の三條雅蓉さん)、オリジナルヒーローの構想が持ち上がった。
その後、ショーに関わってきたOB・OGや関係者などに賛同の輪が広がり、プロジェクトが正式に発足。三條さんは「『何とかして子どもたちに笑顔になってもらいたい』という思いと、人と人の輪でこのキャラクターが形になった。小さな奇跡がたくさん重なってできたキャラクター」と話す。
ストーリーは、かつて人類を脅かし、正義の戦士「破牙神ライザー 龍」によって地中深くに封印された「傲魔一族」が大地震による地殻変動で復活。救援活動に従事していた予備自衛官・宮城健が、地中から出土した謎のベルトで「破牙神ライザー 龍」に変身し、傲魔一族と戦うという設定。「震災で怖い思い、不安な思いをした子どもたちのために生まれたヒーロー。子どもたちに寄り添えるヒーローであってほしいと思い、あえて震災を背景にしている」という。
「ヒーローショーのステージに立ってきた私たちは、子どもたちの表情を目の前で見てきた。強く頼もしいヒーローを見上げる子どもたちのキラキラした笑顔が、周りの大人たち、そして宮城全体を笑顔にして、ふるさとに元気を運んでくれるはず」と三條さん。「これからぜひ応援していただければ」と協力を呼び掛ける。
8月1日に仮サイトをオープン以降、県内の幼稚園や保育園のほか、企業などからも問い合わせが寄せられているという。今後はまず県内や被災地で慰問ショーを行う予定で、一般への初お披露目は10月中旬を予定する。