東日本大震災で津波の被害を受けた「石ノ森萬画館」(石巻市)が再建に向けて動き出した。
同施設では宇宙船をかたどった3階建て建物の1階部分が浸水し、押し流されてきた家屋や船などで施設の一部が破損。シージェッター海斗の立像も流されたが、町の中で発見された。当時館内にいた利用客とスタッフは全員無事。展示品や収蔵品など石ノ森さんの貴重な資料も全て無事で、すでに関東地方の保管場所へ移送された。
震災から更新が止まっていた公式ブログでは19日にスタッフの無事が報告され、27日にはがれきの撤去や館内清掃の様子がアップされた。「1階の壊滅状況を目の当たりにして、汚泥とがれきの撤去だけでも何カ月掛かることかと途方もない絶望感にさいなまれましたが(略)汚泥を館内で流し出し、半月ぶりに1階の白い床が見えた時は何とも言えない感動を覚えました」とつづった。コメント欄には連日、施設を利用した子どもたちや石ノ森作品のファン、業界関係者などから励ましの言葉が寄せられている。
現在も復旧の見通しは立っておらず、計画していた10周年イベントなどの開催も難しい状況にあるが、同館では「かつて萬画館の姿形がなかったころ、石ノ森先生が『市民の思いを一緒に描いていけたら良いね』と言っていただいた言葉を胸に、また一からのつもりで歩みたい」と決意を新たにする。「できることからコツコツと始めて、この『萬画の国・いしのまき』から復興に向けての明るい話題や情報を皆さまにお伝えしたい」とも。