東北歴史博物館(多賀城市、TEL 022-368-0106)特別展示室で現在、東日本大震災復興祈念特別展「みちのくの観音さま -人に寄り添う みほとけ-」が開かれている。
同展では東北各地に残る観音像、観音への奉納品、観音ゆかりの多彩な文化財を幅広く集めて展示し、東北地方の観音信仰の全容に迫る。「さまざまな苦しみに悩む人々を救済するため現れるとされる観音菩薩(ぼさつ)は、人に寄り添う最も身近な神仏として、東北地方でも古くから信仰を集めてきた」と同展担当者。「展示を通して、東北の地に伝えられた貴重な文化財や豊かな精神文化を再発見する場となり、震災で被災した方々にひとときの安らぎを与え、復興への思いを新たにする機会になれば」と話す。
「第1章 観音菩薩のすがた」では、東北地方各地の観音像を「金銅仏」「木彫物」「鏡像と御正躰(みしょうたい)」の3節に分けて展示するほか、仏像を守り伝えてきた寺社や地域の歴史も紹介する。主な展示資料は、「聖観音菩薩立像」(宮城県指定、宮城県石巻市・常春寺)、「十一面観音菩薩立像」(福島県指定、福島県南相馬市・泉龍寺)、「観音菩薩坐(ざ)像」(岩手県指定、岩手県二戸市・天台寺)、「十一面観音菩薩立像」(岩手県指定、岩手県大船渡市・長谷寺)、「銅造聖観音菩薩坐像御正躰」(重要文化財、山形県天童市・若松寺、公開は2月22日まで)、「線刻千手観音等鏡像」(国宝、秋田県大仙市・水神社)など。
「第2章 観音菩薩への祈り」では、観音菩薩を信仰した人々に焦点を当て、観音にささげられた絵馬をはじめとする奉納品や願いを託した品々、巡礼や「観音講」に関わる品々、観音と人々を結び付ける芸能など、「観音ゆかりの文化財」を紹介する。
開催から約1カ月がたち、40代~60代を中心に家族連れや仏像ファンなどが県内外から来場。地元の観音像を見たいと訪れる被災者も多いという。同担当者は「東北地方の観音菩薩と先人たちの深い関わりを感じていただければ」と来場を呼び掛ける。
開館時間は9時30分~17時(発券は16時30分まで)。月曜休館。観覧料は、一般=1,000円、シルバー=900円、高校生=500円、中学生・小学生=300円。3月12日まで。