宮城県美術館(仙台市青葉区川内元支倉、TEL 022-221-2111)2階展示室で現在、特別展「ポンペイ」が開催されている。
第4章「ポンペイ繁栄の歴史」のモザイク画「葉綱と悲劇の仮面」と「イセエビとタコの戦い」
紀元79年、ヴェスヴィオ山の大規模噴火により全て飲み込まれたイタリア南部の古代都市ポンペイ。短時間で噴火堆積物の下に閉じ込められた家々や神殿、美術品、家財道具は誰にも手をつけられることなく約1700年にわたり眠り続け、18世紀に始まった発掘作業は現在も続いている。
同展では、ポンペイ遺跡の膨大な遺物を、所蔵するナポリ国立考古学博物館協力の下、日本初公開を含め約130点展示。ポンペイの豊かな暮らしを、発掘の成果を基に紹介する。東京国立博物館を皮切りに、京都、宮城、九州を巡回する。
会場内は、序章「ヴェスヴィオ山噴火とポンペイ埋没」、街の基盤となった公共施設やインフラにフォーカスを当てた第1章「ポンペイの街-公共建築と宗教」、裕福な市民の暮らしぶりを紹介する第2章「ポンペイの社会と人々の活躍」、都市の食生活やポンペイの人々の日常生活を紹介する第3章「人々の暮らし-食と仕事」、ポンペイ遺跡でも著名な3つの邸宅に注目した第4章「ポンペイ繁栄の歴史」、ポンペイ同様に噴火で埋没した周辺の遺跡も含め18世紀からの発掘の歴史を振り返る第5章「発掘のいま、むかし」で構成する。
展示物は、モザイク画「葉綱と悲劇の仮面」「イセエビとタコの戦い」、ブロンズ像「踊るファウヌス」「竪琴(たてごと)を弾くアポロ」などをはじめ、フレスコ画や彫像、調度品や宝飾品のほか、食器や道具類などの日用品も並べる。
同館担当学芸員は「現代まで続く発掘は、まさにタイムカプセルを開封する作業。ポンペイと周辺の遺跡は古代ローマ都市の人々の生活を知る資料の宝庫であり、長年の発掘作業が古代史、美術・文化史の研究にもたらした成果は計り知れない」と話す。「展示品はどれもナポリ国立考古学博物館の誇る優品ばかりで、中でもポンペイの旧家であり最も大きい邸宅『ファウヌスの家』から出土した精細なモザイクの数々は必見。約2000年前の古代都市へのタイムトラベルを楽しんでもらえたら」と呼びかける。
開催時間は9時30分~17時(発券は16時30分まで)。月曜休館(9月19日は開館、翌20日休館)。観覧料は、一般=1,500円、学生=1,300円、小・中学生・高校生=750円。9月25日まで。