仙台でパティスリーとカフェを展開する「MythiQue(ミティーク)」が現在、1日3時間限定のオンライン受注販売を行っている。
パティシェの兄・土田俊也さんとバリスタの弟・誠也さんの2人が、「食材王国SENDAI」をテーマに個性豊かな商品作りを行う「ミティーク」。「パティスリーミティーク」(仙台市青葉区宮町1、TEL 022-227-5851)と「カフェミティーク」(中央2、TEL 022-393-7738)を営み、幅広い客層を得ている。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、学校給食や外食産業で牛乳や乳製品の消費が減少。農林水産省は4月21日から、酪農家を支えるため牛乳やヨーグルト、クリームチーズを普段より多く消費することを推進する「プラスワンプロジェクト」を始めた。こうした動きを受け、ミティークでも初めて自社のオンラインショップ「ミティークラボ」を開設。5月1日から数量・時間限定で乳製品を使ったスイーツの販売を始めた。
誠也さんは「私たちと同じように大変な思いや苦労をされている生産者やメーカーの方がたくさんおられて、コロナ禍で乳製品や食材が行き場を失う状況が続いている。少しでも食品ロスをなくすために乳製品を使ったスイーツをオンラインで提供することを決め、受注販売を始めた」と話す。
JAL機内食に採用された「レッドジュエル」の基となったブルーベリーレアーチーズケーキ「ブルージュエル」、旬のフルーツにホイップクリーム、スポンジを合わせたケーキ仕立てのスムージー「飲むケーキ アートスムージー」、保存料などの合成添付物を一切使わず独自の製法で作る「ジュエルプリン」を数量限定で販売する。「少しでも食品(乳製品)ロスを救う商品であること」「品物だけでなく『笑顔』も一緒に届けられるような商品であること」「生産から物流、衛生面まで自社基準をクリアした商品であること」から3種類を選んだという。
一つ一つ手作業で、休業要請により少人数のスタッフで受注から製造・梱包(こんぽう)・発送まで行っていることから、商品の予約受け付けは毎日21時~24時の3時間のみ数量限定で行う。「お客さまにとって一番予約しやすい時間帯、ほっと一息つける時間帯に絞った」と土田さん。
開設から1カ月で県内を中心に北海道から鹿児島まで全国から「予想を超える」注文があり、宮城出身の県外者が応援で購入するケースもあるという。1日の生産は1種30箱程度で、現在は発送まで1~2週間ほどかかる。
「受注が増えれば生産者が元気になり、多くのお客さまが笑顔になり、自粛中のスタッフの雇用を創出でき、地域に活気を与え、喜びの連鎖が起きる」と誠也さん。「先の見えない暗い状況をスイーツの力で笑顔にしていきたい。皆さんの温かい支援をお願いできれば。皆さんのその思いこそが、私たちの心の支えになる」と呼び掛ける。
終了時期は未定で、「以前の日常を取り戻すまでは続けていく」。