1934(昭和9)年創業の老舗「矢部園茶舗」(塩釜市)がペットボトル入り茶「茶摘み」を発売して3カ月がたった。
矢部園茶舗3代目店主で「茶匠」の資格を持つ矢部亨さんが選んだ玉露、煎茶、玄米茶、茎茶、芽茶、ほうじ茶など、「土作りから茶摘み、仕上げまで全ての工程で丹念に育んだお茶」(矢部さん)を販売する同店。オリジナルブレンドの最高級煎茶「水仙1号」や「伊達茶 玄米茶」など4種類は、JR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」にも採用されている。
新商品「茶摘み」は、全国の有名日本料理店で構成する「全国芽生会連合会」と共同開発した。「日々試行錯誤を重ねながら手間暇惜しまず頑張っていらっしゃる茶農家さんの情熱と技を消費者に伝え、その仕事に見合った報酬をお返ししたい」と、4年の歳月をかけて製品化した。
キャップをひねって茶の粉末を水の中に噴出させ、ペットボトルを20~30秒シェイクすると出来上がる仕組みが特徴。水は鳥海山の伏流水、茶葉はその年に国内で生育の良かった100グラム3,000円程度の高級茶葉をブレンドして使う。初回は「さえみどり」をベースに、「やぶきた」を深蒸しで強火にしたものを、最も適正な味になるようにブレンドした。
「微粉砕した茶葉1.5グラムがキャップに入っていて、ひねった時に初めてお茶が水に溶け出す仕組み。いつでもどこでも誰でも、新鮮で最高級のお茶を作ることができる」と矢部さん。「日本茶本来のうま味があり、すっきりしている」といい、「従来のペットボトル商品からは想像もつかないほどの味と香りがある」と自信を見せる。
昨年11月に本格販売を始め、20~70代、地元市民や国内外の観光客まで幅広い層が自分用や土産用、贈答用に買い求め、リピート購入も多いという。矢部さんは「日本茶のおいしさと素晴らしさを思い起こしていただける本物の味。ここから派生して、急須で入れていただくお茶に進んでいただくことで、茶農家、急須の窯元、産地問屋がそれぞれの役割を発揮できる」と話し、「収益を目的とするのではなく、文化を伝えていければ」と意気込む。
価格は1本190ミリリットル入り=400円。本店「茶匠 矢部園」とオンラインショップで販売する。本店の営業時間は9時30分~18時。