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仙台・八幡の洋菓子店「ブルボン」、45年の歴史に幕 名残惜しむ客続々

45年にわたり「ブルボン」を営んできた店主の小野塚賢二さんと妻の幸江さん

45年にわたり「ブルボン」を営んできた店主の小野塚賢二さんと妻の幸江さん

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 仙台市青葉区八幡で45年間営業を続けてきた「ブルボン洋菓子店」が8月6日、閉店する。

ブランデーシロップに生地をひたひたに浸した「サバランババ」

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 東京で洋菓子・パン作りを学んだ小野塚賢二さんが仙台の製造工場勤務を経て1973(昭和48)年に開き、店に立つ妻の幸江さんと営む同店。創業当時は仙台市電が通りを走り、尚絅女学院(現・尚絅学院)や宮城一女高(現・宮城一高)、東北大などの学生をはじめ人通りが多く、日常的に利用する客で繁盛を続けていた。

 看板商品は、ブランデーシロップに生地をひたひたに浸し、生クリームとカスタードクリーム、フルーツを挟んだ「サバランババ」。ベースはフランスの焼き菓子「サバラン」で、当時ほかに販売していた焼き菓子の「ババ」を名前に残した。「ババを売っていたときはお客さんに失礼な名前だと怒られたこともあった」と笑う賢二さん。「うちよりおいしいところはない。これだけのヒット商品を残せたのが誇り」とも。

 ポルトガルの伝統的な菓子「タンタオ」を「そのままではつまらないから」と「ちょっと気になるタンタオ」とキャッチフレーズを付けたり、定番商品の「ジャーマン(ジャーマンアップルケーキ)」を大崎八幡宮の松焚祭(まつたきまつり)の日だけ値引きして「どんと祭名物」として売り出したりと、工夫を凝らして話題を集め、度々メディアにも取り上げられてきた。

 一方で、スーパーやコンビニで手軽に洋菓子が買えるようになるなど、時代とともに「まちの洋菓子店」を取り巻く状況は変化。賢二さんが今年80歳という高齢でもあることから閉店を考え始めていたが、親子2代、3代にわたり利用する客や遠方から買い求めに来る客、保育所の子どもたちにパンが喜ばれていることなどから踏み切れずにいた。

 そんな折、賢二さんが6月に店で倒れる。暑さと過労によるものだった。幸い大事には至らず数日後には営業を再開したが、閉店を決断。7月末にお知らせを張り出すと、常連客やかつて利用していた人、登下校で毎日目にしていたが入りそびれていたという学生など、名残を惜しむ客が連日店を訪れ、幸江さんに思い出を話していく。「私たちの知らないところで店のことを思ってくれている人がいるんだなと感動した。商売冥利(みょうり)に尽きる」と幸江さん。

 この時期室温が50度を超える工房で、パンを焼きながらその会話を耳にする賢二さんは「やめたくないが年には勝てない。体が言うことを聞けば続けたいんだけどね」と本音を漏らす。「本当に45年もたったのかな。毎日朝早く出てきてパンを焼いて暗くなったら家に帰って、知らない間に年月が過ぎていた」。増えた客足に対応し、一人でも多くの人にブルボンの洋菓子を思い出に残してもらおうと、営業最終日まで変わらず朝から仕込みに入る。

 「45年間いろいろなことがあったが、それを乗り越えて続けてこられたのはお客さんのおかげ。うちのお菓子が好きだという声など、ちょっとしたことでもうれしくて疲れが吹き飛んで、頑張ろうと思えた」と幸江さん。「お客さんとのたくさんの思い出は一生残る心の宝物。本当にありがたい」と感謝を口にする。

 営業時間は9時~19時。

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