東北大学が1月26日、腹痛時の自律神経活動を測定するiPhoneアプリ「おなかナビ」をリリースし、同アプリを使った「過敏性腸症候群」の神経活動調査を始めた。
過敏性腸症候群は、ストレスなどによって腸の運動に異常が起き、腹痛や下痢・便秘を伴う症状が続く疾患。同大によると、日本人成人の約15%がかかっているとされる。
「採血検査や消化管内視鏡検査、腹部画像検査などでは異常を示さないため軽く考えられてしまうことがあるが、日常生活の質(QOL)が低下したり、適切に治療する機会が失われたりすることが問題となっている」と同大。日常の生活の中で症状が突然起こるため、腹痛時に医療機関を受診できることが少なく、症状が起きるメカニズムは詳しく分かっていないという。
そうした現状を踏まえ、同大大学院医学系研究科行動医学分野の福土審教授・田中由佳里助教の研究グループが、同情報科学研究科生命情報システム科学分野の木下賢吾教授、大学院生らと共同で同アプリを開発した。
同アプリでは、世界基準に沿った過敏性腸症候群の症状についてのアンケートに答えることで過敏性腸症候群の可能性を調べることができるほか、腹痛の有無や排便状態を記録したり、iPhoneのカメラに指を当てて脈拍データを測定し自律神経活動度を調べたりすることができる。罹患(りかん)の疑いがある場合は、記録を医療機関で受診する際に主治医に見せることで円滑な医療連携も期待できるという。
同大では今後、「おなかナビ」を通じて収集したアンケート結果や神経活動のデータを活用し、過敏性腸症候群の発症メカニズム解明に取り組む方針という。