仙台・六丁の目に2月21日、DIYで印刷加工ができるレンタルスタジオ「analog」(仙台市若林区六丁の目西町)がオープンした。
菊信紙工所(同)が工場の一部を改装し、新規事業として立ち上げた同施設。同社営業の菊地充洋さんが、東北大学と仙台市による教育プログラム「せんだいスクール・オブ・デザイン」を受講したことがきっかけとなった。
それまで直接関わりのなかったクリエーターと交流を深めるうち、特殊印刷・加工への潜在的なニーズがあることを知り、「製本業という自分の仕事で街に何が貢献できるのかと考えるうちに、求められているものがあるならば応えたいと思うようになった」と菊地さん。斜陽産業といわれる製本業の将来への危機感から新事業創出の必要性も強く感じ、開業を決めたという。
施設面積は約96平方メートル。施設内には、紙用スクリーン印刷機、衣類用4色スクリーン印刷機、ヒートプレス機などを備えたシルクスクリーンスペース、箔(はく)押し機と名刺カッターを用意した箔押しスペース、レーザー加工機、リング製本機、綴(と)じ機などを備えた加工スペースを用意。利用者は備え付けの機材を使って、特殊加工を施したオリジナルのポスターやフライヤー、名刺、Tシャツ、トートバッグ、小冊子、パッケージなどを製作できる。
スタッフによるサポートや資材の販売、出力や製版などのオプションも用意するほか、フリースペースでは作品の撮影やワークショップなどのグループワークを行うこともできる。若林区荒町のコーヒースタンド「OVAL COFFEE STAND」も出張営業を行い、コーヒーとドーナツを販売する。
「クリエーターがアイデアを形にするための交流・実践の場として充実させていきたい」という一方、家族や友人のために一点ものの贈り物を作りたいといった要望、副業でオリジナル商品を製作・販売したいというニーズにも応えていきたいという菊地さん。「自分の作った物が誰かのためになるということが、小さいながらもたくさん街の中に生まれてくると仙台はもっと面白くなる。大量生産を得意としていた製本所が、そういう小さな行動のお手伝いをすることから可能性を見いだしたい」と意気込む。
営業時間は10時~19時(22時までの延長も応相談)。火曜・木曜定休。ワークスペース使用料は各2時間3,600円(土曜・日曜・祝日は各4,000円、1時間延長ごとに1,000円増し)で、初回利用時は講習(各5,000円)が必要。貸し切り利用やスタジオ見学にも対応する。ウェブサイトからの事前予約制(コーヒースタンド利用は予約不要)。