仙台空港ターミナルビル(名取市)1階国際線到着ロビーに3月12日、宮城県出身の漫画家で映画監督の大友克洋さんの原画を基にしたパブリックアート作品が設置された。
日本交通文化協会(東京都千代田区)が、仙台空港ビル(名取市)の協力と財団法人日本宝くじ協会の「社会貢献広報事業」の助成を受けて整備した同作品。宮城県登米市出身の大友さんが原画制作と監修を務め、「クレアーレ熱海ゆがわら工房」の陶板レリーフ職人10人の手により約10カ月かけて製作された。
作品名は「金華童子風神雷神ヲ従エテ波濤(ハトウ)ヲ越ユルノ図」。サイズは、幅=約8.7メートル、高さ=約2.8メートル。メカニカルな金魚にまたがった金華童子が、風神と雷神を従え荒波を越えて祥雲を招く姿が描かれている。未来を担う子どもたちが、現代の英知と共に自然が持つ大いなる力に立ち向かい、困難に対しても勇気を持って前に進む姿をイメージしたという。
同日、完成除幕式が行われ、大友さんをはじめ、村井嘉浩宮城県知事、日本交通文化協会理事長の滝久雄さん、東京大学大学院教授・建築家の隈研吾さんらが出席した。
式典では、村井知事が「震災発生から4年が経過し、今まさに県民一丸となって創造的復興に取り組んでいる私たちにとって、勇気と活力を与えてくれるものと確信している。来年3月に予定されている仙台空港の民営化により、30年後の年間旅客数はこれまでのピーク時の2倍となる600万人という大きな目標を掲げているが、この作品が設置されることで大友先生の作品を一目見たいと世界中からお客さまがいらっしゃることと思う。宮城県と日本各地、あるいは世界各地との交流が一層促進され、復興を後押ししていただけるものと期待している」と力を込めた。
大友さんは「非常にいい作品にでき上がったと思っている。触ったりして作品に親しんでほしい」と話し、「震災に対するいろいろな思いもあるが、それよりは、子どもたちが『これは一体何なんだ?』と質問して、みんなが『そういうことがあったんだよ』と語りつないでほしい」と呼び掛ける。