東北大学片平キャンパス「Katahira X(テン)」で8月24日、「せんだいスクール・オブ・デザイン(SSD)」の2014年度春学期成果発表会と修了式が行われた。
SSDは、さまざまな業種・領域との連携やグローバルな交流、テクノロジーの活用などを通して地域の課題を解決する人材を養成することを目的に、2010年11月開講。東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻が仙台市と連携し、独立行政法人科学技術振興機構(JST)のプログラム「地域再生人材創出拠点の形成」の一環として実施してきた。
大学院生と地域のクリエーターが共同でプロジェクトに取り組む実践的なデザインスタジオ「PBL(Project Based Learning)スタジオ」を中心に、「Futureラボ」「Interactiveレクチャ」などを展開。講師は同大学の教員に加え、国内外で活躍する建築家や各分野の専門家が務め、多規範適応型の「タフな人材」、地域の活性を図り得る「コラボレーティブなクリエーター」を育成してきた。
しかし、開講からわずか4カ月で東日本大震災が発生。以降、活動拠点を青葉山キャンパスから仮設校舎である同所に移動しただけでなく、「行政やコミュニティーと協働し、地域の課題に取り組み、成果を地域社会に還元」することを掲げる同スクールにとって、「デザインによる復興支援」という現実的な課題を突き付けられることにもなった。
一方で震災後は、自らのスキルや発想で地域に貢献したいと考えるクリエーターも増えた。SSDでも修了生から話を聞いたクリエーターが受講を申し込むケースが増加。これまでに学生128人、社会人122人の計250人(延べ)が修了した。
通常のプログラムとしては最後となった今期のキャッチコピーは「フィールドに散開せよ」。修了生に向けて同スクール運営委員会委員長の本江正茂准教授は「それぞれの場所に閉じこもっているだけではできないことを、違う分野の方とコラボレーションしながらやってみる。その機会を提供することでタフなクリエーターを育てたいと思ってやってきた。皆さんがここでの成果を持ち帰り、それぞれのフィールドで活躍されることを期待している」とエールを送った。
今後、同大学ではSSDの基本的なアイデアを継続し、新たなプログラムを展開する方向で検討を進めている。「個人的な反省点」と前置きしながらも、本江准教授は「プロジェクトのアウトプットをもう少し育てて、実社会に返せるようなものが足りなかった。今後展開するプログラムではそうしたところも意識していきたい」と話す。
同25日からは同所で、今学期の成果物とSSDのこれまでの活動を紹介する一般公開の成果発表展示を行っている。同スクール研究員の鎌田恵子さんは「どれほどたくさんの受講生と講師の方が、仙台の街や産業について必死に考えてきたかを見てほしい。それこそが仙台のポテンシャルでもあると思うし、受講生たちが学ぶ姿から仙台のパワーを感じてほしい」と来場を呼び掛ける。
展示時間は10時~17時。入場無料。今月31日まで。