東北大学百周年記念会館「川内萩ホール」(仙台市青葉区川内)で11月5日、建築家・安藤忠雄さんの講演会「可能性は自分でつくる」が行われた。
同ホールは東北大の100周年を記念して「東北大学記念講堂及び松下会館」を全面改修したもので、10月に完成。地上5階・地下1階建てで、延べ床面積は約5,900平方メートル。仙台出身で同大教授の建築家・阿部仁史さんが基本構想と設計監修を手がけ、「最先端のデザイン技術と音響設計技術の粋を集めた」(同大)という。総工費は約16億円。
講演では、安藤さんが若いころに行った世界建築行脚の旅の話に始まり、安藤建築の原点ともいえる住吉の長屋から表参道ヒルズ、新渋谷駅など最近の仕事までのさまざまな事例やエピソード、石原慎太郎東京都知事から依頼された「東京オリンピック」の計画なども紹介され、満席の会場をわかせた。
安藤さんと対談を行った同大准教授の五十嵐太郎さんは「座して仕事を待つのではなく、さまざまな夢やアイデアをもって『動け!行動せよ』というメッセージがあったと思う。安藤さんの話はいろいろな仕事で人を巻き込んでいるというか、人の物語になっているというのが、建築関係者以外の聴衆にも受け入れられる点だと改めて思った」と話す。
講演会には学生や社会人など、ホール定員(1,235人)を上回る約1,500人が来場し、入り切れずに会場を後にする人の姿も。五十嵐さんは、「開館したばかりのホールでの建築家の講演に、1,500もの人が集まったことに驚いている。建築や街づくりに関心のある人がこれだけいるのだから、仙台の都市をよりよくする動きにつながっていってほしい」と期待を寄せた。