仙台市博物館(仙台市青葉区川内、TEL 022-225-3074)で7月4日、東日本大震災復興祈念特別展「奈良・国宝 室生寺(むろうじ)の仏たち」が始まった。
奈良時代末に創建された真言宗の古刹(こさつ)、室生寺(奈良県宇陀市)。女人禁制とされてきた高野山に対し、古くから女性の信仰を受け入れてきたことから「女人高野」の名で知られている。
1998年、台風被害により境内の「国宝 五重塔」が破損した際に全国からの支援で修復された経緯がある室生寺。東日本大震災から3年、同様の苦難を経験した室生寺の全面的な協力により同展の開催が実現した。
「密教の伝灯と秘宝」「伝法灌頂(でんぽうかんじょう)の儀式」「変化自在の十二神将」「厳かな慈悲の仏たち」「美と慈愛の化身 十一面観音菩薩(ぼさつ)」の5章で構成。国宝の十一面観音菩薩立像、釈迦如来坐像(ざぞう)、重要文化財の薬師如来立像、地蔵菩薩立像、文殊菩薩立像、十二神将立像など、仏教彫刻や仏画などの仏教美術93点を展示する。
開幕初日には同展の応援団として「仏像大使」に就任した、イラストレーターのみうらじゅんさんと作家・クリエーターのいとうせいこうさんが来場。トークショーを行い、室生寺の仏像の魅力や同展の見どころを紹介した。
いとうさんのお薦めは十一面観音菩薩立像。「あどけない少女のような系統のお顔や、手とか足とかの少し子どもっぽい短さ。後背がなくて後ろが見られるのもすごい」。みうらさんは十二神将立像。「動きのある感じがすごい。釈迦如来坐像もそうだが、衣紋の表現の仕方もそれぞれ違っていいなと思う」
「仙台にこの仏像たちが出開帳しているということ自体が大きなメッセージであり、大きなパワー」と話すいとうさん。「このレベルの展覧会はなかなかないと思うので、ぜひ皆さまにも足を運んでいただきたい」と呼び掛ける。
開館時間は9時~16時45分(入場は30分前まで)。月曜休館(7月21日開館、翌22日休館)。観覧料は、一般=1,400円、大学・高校生=1,100円、小・中学生=700円。8月24日まで。