宮城県は、災害時における新たな通信手段の確保としてウィルコム(東京都港区)のPHS電話機「イエデンワ」を県内の各種施設に導入した。
イエデンワは据え置き型デザインのPHS電話機。設置工事不要のため場所を選ばず使用でき、省電力でAC電源のほかに乾電池でも駆動できるのが特徴。単3形アルカリ乾電池4本で約800時間の駆動・約10時間の連続通話が可能だという。緊急時の通信手段として、東京都葛飾区・三鷹市の小・中学校などに導入されている。
「東日本大震災では、携帯電話や固定電話がつながりにくくなるなど、災害時における通信回線の脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになる一方、PHSの非常時における通信手段としての有効性が再認識された」と宮城県総務部危機対策課。この経験を踏まえ、同社の協力で県内の学校・保育所・県機関などへイエデンワを設置。今年3月から順次運用を始めた。
現在導入されているのは、県内の市立小・中・特別支援・高等学校など246校、公民館・図書館・児童館など107施設、民間保育園を含む保育所68所、幼稚園25園、教育委員会など13課、県94機関、市町村107機関。1施設に1~3台設置し、総台数は982台。PHS同士の通話は無料のため、県では平常時も施設間の業務連絡などに活用することで電話料金の削減効果にも期待する。