NanoFrontier株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役:井上誠也)は、宮城県が実施する「2025年度 新規参入・新産業創出等支援事業費補助金(成長分野参入支援型)」に採択されました。当社はこれまで、独自に改良を重ねたナノ粒子の連続量産プロセスの構築に取り組んでおり、本補助金を活用し、研究開発から試作・供給体制の整備まで一層の推進を図ってまいります。
本技術は、有機色素・ポリマー・有機触媒など幅広い材料で粒径制御・分散安定化を可能にするもので、PFAS検出材、環境計測、電池材料、化学産業など多様な領域への適用が期待されています。

ナノ粒子生成技術のプラットフォーム化
高機能材料分野においては、粒径の均一性や高い分散性、さらには高純度を安定的に維持することが性能を左右し、産業導入の成否を決める重要な要素となります。しかし、従来主流であった回分式のナノ粒子化プロセスでは、製造条件がバッチごとに変動しやすく、粒径や分散状態の再現性を確保することが難しいという課題がありました。また、スケールアップ時には混合効率や核生成条件が変化しやすく、実験室レベルでは達成できていた品質が量産段階では維持できないケースも少なくありません。その結果、一定品質を継続して供給するための体制構築が難しいという問題が指摘されてきました。
NanoFrontierが開発する「連続式(インライン)製造装置」では、
- 溶媒混合の均一化
- 添加剤の極小化
- 有機化合物への広い適用性
- 製造条件の標準化
などを実現する可能性を持つプロセスです。
特に、難水溶性の有機色素をナノ粒子化して水環境下でも安定分散させることで、低濃度PFASの迅速検出に向けた材料開発が進んでおり、水質モニタリング領域での活用への期待が高まっています。

連続式製造装置により得られたナノ粒子
共同研究・パートナー募集
NanoFrontier株式会社では、粒径・分散性・純度の再現性が求められる高機能材料・環境センシング分野を中心に、連続式(インライン)ナノ粒子製造技術を活用した共同研究・PoC・受託製造・技術ライセンスのパートナーを募集しています。
本技術は、回分式プロセスで課題となりやすいバッチ間ばらつきやスケールアップ時の品質低下を抑制し、研究段階から量産を見据えた標準化可能なプロセス設計を可能にします。既存材料に対しても、ナノ粒子化による粒径・分散制御を通じて、性能安定化や用途拡張といった付加価値創出が期待できます。
現在は、難水溶性有機色素をナノ粒子化することで、低濃度PFASを迅速に検出可能な水質モニタリング材料の事業化検討を進めています。加えて、社内に既に存在する有機化合物や中間体を起点に、新規合成に頼らず事業化可能性を再検討したいといったテーマでのPoCや量産検討にも対応可能です。
このような事業ニーズをお持ちの企業・研究機関の皆さまへ
■ 汚染物質検出(PFAS等の環境センシング)
- 特定PFASを高額な分析装置に依存せず、低コストに現場で迅速に測定したい
- 微量汚染物質を現場で低コストに高感度に検出するための試薬品を共同開発したい
■ 蓄電池(電極材料・添加材)
- コストを抑えて、再エネや電力調整のための大規模蓄電池を導入したい
- レアメタルを用いず、危険性の少ない大規模蓄電池を国産化したい
■ 冷却液(熱マネジメント用途)
- 冷却液中にナノ粒子を分散させることで、粘度を維持したまま、冷却性能を向上させたい
- データセンターや産業用途を見据え、量産・供給可能な材料開発を行いたい
■ 触媒(反応効率・選択性向上)
- 水に溶けない医薬品をナノ粒子化することで、水溶性を付与したい
- 副作用のない抗がん剤を共同開発したい
ご関心のある企業・研究機関の皆さまと、PoCから量産・ライセンスまでを見据えた事業化検討を進めていきたいと考えています。ぜひお気軽にご相談ください。
今回の採択は、当社が目指す「高機能ナノ材料の社会実装」を大きく前進させるものです。粒径制御・分散安定性・量産再現性は、多くの産業領域が抱える共通課題であり、宮城県の支援を受けてその解決に挑めることを大変嬉しく思います。
PFAS検出材をはじめ、環境・エネルギー・化学など多様な分野で活用できる量産プロセスを確立し、東北から世界に新しい産業価値を届けてまいります。
(代表取締役 井上誠也)
制度名: 2025年度 宮城県 新規参入・新産業創出等支援事業費補助金(成長分野参入支援型)
目的: 県内企業の新規産業参入・高付加価値化を支援し、地域産業の活性化を図るもの。
公式サイト:
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/shinsan/innovation.html
会社名:NanoFrontier株式会社
代表者:代表取締役 井上 誠也
所在地:宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 東北大学産学連携先端材料研究開発センター215号室
設立:2025年4月7日
事業内容:
- 有機ナノ粒子化技術を用いた試薬品・機能性材料の研究開発、製造および販売
- 有機ナノ粒子の製造受託および関連技術の提供
- 有機ナノ粒子化技術分野における技術ライセンスの供与および技術コンサルティング
公式サイト:
https://nanofrontier.jp