高校生らがラベルや熨斗紙をデザインした「お歳暮セット」
宮城県石巻地域ですべての高校生が挑戦できる場づくりを行う一般財団法人まちと人と(宮城県石巻市、代表:斉藤誠太郎)は、農作業を通じた就労支援を行いながらクラフトビールを醸造する株式会社each×other(石巻市、代表:高橋由佳)とともに、「高校生がつくるお歳暮セット」を販売します。
お歳暮セットに込めた想い
東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市では、復興の歩みが進む一方で、震災後に育った若者が地元の魅力を十分に知らないまま都市部へと流出しています。人口減少が一層深刻化する中、地域の未来を担う世代の育成は大きな課題となっています。
一般財団法人まちと人とは、震災後から高校生の「やってみたい!」を応援し、若者の挑戦の機会をつくってきました。
今回の「高校生が作ったお歳暮セット」の取り組みは、地域の中で若い世代が力を発揮する機会をより多く創出し、地域の人々にも「若い世代にはこんな可能性があるんだ」と感じてもらいたという思いからスタートしました。
お歳暮という形を通して、高校生たちが自ら考え、つくり上げた商品が企業の手に渡り、さらにその先のお客様へと届けられることで、「若い人の力ってすごい」「地域全体で若者と街がつながる機会を作っていこう」といった若者支援への機運をこの町全体に広げたいという願いが込められています。
お歳暮セットができるまで
2025年8月、津波で甚大な被害があった石巻市北上町の農園を訪れた石巻市立桜坂高校美術部員と若手社会人。ラベルデザインのヒントを探しに、石巻市北上町のホップ畑で収穫体験を行いました。
足を踏み入れると、太陽の光を浴びてツルを伸ばしたホップが一面に広がり、緑のカーテンが迎えてくれます。
高所用の脚立を登り、5メートル近くまで伸びたツルからホップを慎重に摘み取っていきます。
「こんなに繊細で手間のかかる素材だったなんて」「今日の体験をデザインに落とし込みたい」――
参加者からは驚きや感動の声があがりました。
ホップは鮮度が命の植物だからこそ、その場でしか味わえない香りや質感を五感いっぱいに受け止める時間となりました。
こうして体験した「生きたホップの存在感」が、単なる知識ではなくリアルな実感として、ラベルデザインの大きなヒントになっています。
ホップの香りを体感
脚立に登ってホップを
ラベルのデザインを考える高校生たち
イラストの贈呈式を実施
10月10日、イラストを描いた高校生たちがISHINOMAKI HOP WORKSの醸造所に集まり、贈呈式を実施。絵に込めた想いを発表し、各社の代表に制作したイラストを手渡しました。
[制作した高校生の声]
ホップの緑や山の緑がとても綺麗で、私たちが見たのは夏でしたが、今回はレトロな雰囲気で冬らしい顔を出せるように頑張って描きました。ビールのラベルを描くという体験はめったにないことなので、とても貴重な体験をさせていただきました。(桜坂高校美術部 吉野さん)
[各社代表者のコメント]
私たちの発想にはない色合いやコンセプトで北上の風景が描かれて素晴らしいラベルを作っていただき、すごく感銘を受けています。
若者と大人と街がこうやって繋がっていき、皆さんが石巻のまちを好きになっていただけるといいなと強く感じています。(株式会社イーチアザー代表 高橋由佳様)
高校生がイラストに込めた想いを発表
完成したイラストを手渡し
各社代表者からの挨拶
その後、東日本大震災の津波により使えなくなった映画館をリメイクした醸造所内を見学。
劇場のスクリーンを用いて収穫体験の様子を上映しました。
「レトロな雰囲気が面白かった」「こんな素敵な場所があるのを知らなかった」と感嘆の声が上がりました。
参加者全員で醸造所内を見学
旧映画館スペースを探検
「高校生がつくったお歳暮セット」概要
今回のお歳暮セット作成に関わった高校生と各社の代表
■チラシ
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■注文書
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担当者の思い
秋田県出身。宮城教育大学卒業後、2025年度より一般財団法人まちと人とに新卒で参画。
一般財団法人まちと人と 佐々木 紫乃今回のお歳暮作りに関わり、高校生が進学や就職で地域を離れる前に地域の魅力を感じる機会を届けていきたいと改めて感じました。「石巻地域のすべての若者が超!自己実現できるまち」の実現には、地域の皆様に若者の力を知っていただき、地域全体で若者を育てる仕組みを作っていくことが重要です。お歳暮を受け取った皆様に、地域で活躍する高校生たちの存在を知ってもらえたら嬉しいです。
東京都出身、2019年に石巻に移住。ISHINOMAKI HOP WORKS広報。
ISHINOMAKI HOP WORKS 池田 璃乃「地域の若者が地元企業と関わる場を持つことは、地元の良さを知るきっかけになり、自分がどんなことに関心を持っているのかを知るきっかけにもなる」という趣旨に共感しています。 自分たちがデザインしたものが商品になるのは貴重な経験だと思うので、関わったみなさんが喜んでくれることを思い浮かべながら、商品化に取り組みました。