公益社団法人3.11メモリアルネットワークは、2025年8月11日、岩手・宮城・福島における震災学習プログラム実施団体(以下「伝承団体」)25団体、震災伝承施設(以下「伝承施設」)26施設運営組織から回答を得た2024年東日本大震災伝承活動調査の集計結果を、速報公開しました。
調査結果公開URL
2024年東日本大震災伝承活動調査第2弾(速報)
https://311mn.org/info65
経緯
3.11メモリアルネットワークでは、震災学習プログラムの提供や震災伝承施設の運営に取り組む皆さまにご協力いただき、2017年より毎年「東日本大震災伝承活動調査」を実施しております。
2024年第1弾(来訪数)調査により、「東北の伝承団体・伝承施設への全体来訪の減少への転化」が確認され、また、地震・津波被災地域での復興事業が収束に向かう一方で防災庁設置準備の議論では防災の「行動変容」に言及されており、発災から14年で様々な環境の変化が見られます。
第2弾では、9つの大設問からなるアンケートを実施し、岩手・宮城・福島の25の伝承団体と26の伝承施設運営組織の協力により、調査速報を公開することが出来ました。
発災15年を迎える前の東北被災地での伝承の取組みの現状を把握し、次世代への伝承に向けた持続性を高めてゆくための基礎資料としてお役立ていただければ幸いです。
速報回答例1.
2024年伝承調査速報の一例:「継続の不安」と「防災意識・行動変化への語り部の寄与」への回答
震災伝承団体の「継続性の不安」は96%であり、「語り部」の防災への寄与の認識に対して、その活動継続は見通せていないのが現状。一方で、「来訪者の意識や行動を変えるために、東日本大震災の語り部は寄与できると思われますか?」との設問には「とてもそう思う」または「どちらかというとそう思う」との回答が100%。
速報回答例2.
「震災伝承の「成果」を測るための指標は、どのようなものがふさわしいと思いますか?」への回答結果
震災伝承の「成果」指標については、合計回答数の最多が「伝承団体や施設への来訪者数」で、最小が「復興庁教訓継承サイトの普及開発コンテンツ数」であった。
速報回答例3.
「2026年度以降の伝承人材確保の見通しについて教えてください」への回答結果
伝承団体の過半数は1年後の人材見通しが「余り見通しがついていない」、「全く見通しがついていない」、「わからない」の回答であった。
速報回答例4.
「「第2期復興・創生期間」後の震災伝承への公的な資金支援への期待について、お考えを教えてください」への回答
「第2期復興・創生期間後」の公的な資金支援への期待を尋ねたところ、伝承団体の76%、伝承施設の54%が「拡充」への期待を示した。
※掲載回答例の他の集計結果は2024年東日本大震災伝承活動調査第2弾(速報)をご参照ください。
調査概要
【対象】岩手・宮城・福島の3県で震災伝承活動に取り組む団体、施設
【期間】2025年7月18日~8月10日
【方法】メールで依頼・フォームで回答
【実施主体】公益社団法人3.11メモリアルネットワーク
【アドバイザー】東北大学災害科学国際研究所 佐藤翔輔准教授
【協力】一般財団法人みちのく創生支援機構、公益社団法人CivicForce
調査協力
震災学習プログラム:25団体(岩手5/宮城17/福島3)
震災伝承施設:運営26組織(岩手6/宮城14/福島6)
※調査協力いただいた各組織の名称はリンク先をご参照ください。
今後の調査予定
今回の2024年震災伝承調査第2弾は速報であり、今後も追加回答を収集して「その他」回答等の追加情報を加えて詳報を公開し、昨年同様(※)、今秋には調査報告書冊子にまとめる予定です。
※昨年調査報告書参考リンク:2023年震災伝承調査報告書冊子を公開
本日で、発災から14年5か月を迎えました。
命を守る震災伝承活動を未来に継続してゆくため、少しでもご参考になれば幸いです。