プレスリリース

【獣医師の約7割が反対】見た目のために切られる犬のしっぽと耳

リリース発行企業:株式会社ペトリコウェル

情報提供:

株式会社ペトリコウェル(所在地:東京都中央区、代表取締役:吉村 貴幸)は、獣医師を対象に、「獣医師が感じる断尾・断耳の健康問題」に関する調査を行いました。

町を歩いていると、しっぽの短いトイプードルや、耳がピンと立ったミニチュア・シュナウザーを見かけることがあります。
これらは、一見「生まれつき」だと思ってしまいがちですが、実は生後すぐにしっぽや耳を切られる「断尾」「断耳」という処置によるものです。

「断尾」「断耳」は、かつて作業犬や狩猟犬としての役割を果たす中、怪我を防ぐ等の目的で行われていました。
しかし、現在では、多くの犬がペットとして飼われており、“見た目”のために行われるケースがほとんどです。

加えて、こうした処置に対しては、痛みやストレス、感染症リスクといった健康上の懸念が獣医師や専門家から指摘されており、動物福祉の観点から法規制を進める国も増えています。

また、Breeder FamiliesのSNSでは、「断尾の存在を知らなかった」「知って驚いた」という一般飼い主からの声も多く寄せられ、情報の非対称性の大きさが浮き彫りになっています。

こうした状況を受けて、ワンちゃんを家族のように大切に育てる「優良ブリーダー」のみを厳選して紹介するマッチングサイト『Breeder Families』(https://breederfamilies.com/)を運営する株式会社ペトリコウェルは、「断尾・断耳がもたらす問題」について、現場で日々動物と向き合う獣医師の声を集めました。

調査概要:「獣医師が感じる断尾・断耳の健康問題」に関する調査
【調査期間】2025年3月21日(金)~2025年3月24日(月)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,009人
【調査対象】調査回答時に獣医師であると回答したモニター
【調査元】株式会社ペトリコウェル(https://breederfamilies.com/
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ

断尾・断耳とはなにか?

断尾されたトイプードル

断尾されていないトイプードル

「断尾(だんび)」とは、犬のしっぽを外科的に切除または短縮する処置を指します。通常は生後数日以内の子犬に対して行われ、麻酔の有無や処置方法はブリーダーや国によって異なります。

断尾の歴史は古く、紀元前の時代まで遡るとされます。古代ローマでは、猟犬の尾を切ることで病気を防げると信じられていました。

その後、牧畜犬や狩猟犬、護衛犬などの作業犬では、尾が障害物に引っかかったり、敵に噛まれたりするリスクを避けるため、実用的な理由から断尾が一般化しました。


断耳されたミニチュアシュナウザー

断耳されていないミニチュアシュナウザー

「断耳(だんじ)」は、耳を外科的に切除・整形する処置で、主に耳を立たせることを目的として行われます。生後数週間以内に手術が行われることが多く、術後はテーピングなどで耳の形を維持するケアが必要です。

古代ローマでは狩猟犬や戦闘犬の耳を敵から守るために、また中世ヨーロッパでは護衛犬としての威圧感を高めるために断耳が行われていたと伝えられています。

そして、19世紀以降、犬種ごとの「スタンダード(理想の外見)」がドッグショーの基準として整備される中で、断尾や断耳が“犬種らしさ”として外見基準に組み込まれるケースが出てきました。たとえば、断尾ではトイプードル、ウェルシュ・コーギー、ヨークシャーテリアなどが、断耳ではドーベルマン、ミニチュア・ピンシャー、ミニチュア・シュナウザーなどが該当します。

このように、断尾・断耳はかつて実用的な意味を持ち、歴史的にも長く行われてきた処置です。しかし、現代では多くの犬がペットとして暮らしており、作業犬としての役割を果たすことはほとんどありません。

それにもかかわらず、外見の維持やかわいらしさを理由に、今もなお断尾・断耳が行われているのが現状です。

近年では、こうした処置が健康や福祉に悪影響を与えるとして、海外では禁止の動きが広がっています。

世界と日本のギャップ
断尾や断耳といった処置に対する意識は、世界的に大きく変わりつつあります。多くの国では、これらを「動物福祉に反する不要な処置」と見なし、法的に禁止する動きが進んでいます。

一方、日本では依然として明確な禁止規定がなく、国際的な基準との間に大きなギャップが生まれています。

海外では禁止が当たり前に
ヨーロッパでは、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、イギリス、オランダなど多くの国が、外見目的での断尾・断耳を法律で禁止しています。

同様に、オーストラリアやニュージーランドアメリカやカナダの一部の州・地域でも原則禁止が進んでおり、動物福祉を重んじる意識が広がっています。

また、FCI(国際畜犬連盟)をはじめとする国際的なドッグショー基準でも、「自然な姿」が尊重されるようになっており、断尾・断耳された犬の出陳が制限されるケースも増えています。
日本では規制も意識も遅れている
日本では、断尾や断耳を禁止する法律はなく、動物愛護管理法でも処置そのものは明示的に規制されていません。JKC(ジャパンケネルクラブ)のドッグショーでは、一部犬種で出陳制限がありますが、限定的であり、今も多くの犬に処置が行われています。

その背景には、「その犬種らしい見た目が好まれる」という価値観や、「その外見の方が売りやすい」といった流通上の理由があります。とくにペットショップなどでは、断尾や断耳がされた状態が“完成形”と誤認されやすく、商業的な都合で処置が続いているのが現状です。

このように、日本では今でも、断尾や断耳が続けられていますが、実際に犬たちと日々向き合っている獣医師たちは、この現状をどう見ているのでしょうか。
次章では、全国の獣医師を対象に行った意識調査の結果をご紹介します。

【調査結果】断尾・断耳について獣医師の約7割が反対。その理由とは?
BreederFamiliesでは今回、全国の獣医師を対象に、断尾・断耳に関する意識調査を実施しました。




「断尾・断耳について、あなたの意見に近いものを選んでください」と尋ねたところ、以下のような結果となりました。
- 『反対(27.2%)』
- 『どちらかといえば反対(42.2%)』
- 『どちらかといえば賛成(24.2%)』
- 『賛成(6.4%)』

「反対」または「どちらかといえば反対」と回答した獣医師が約7割にのぼり、これまで慣習的に行われてきた断尾・断耳に対して、専門家の間でも強い懸念が広がっていることが明らかになりました。

75%以上の獣医師が指摘──断尾・断耳に潜む5つのリスク
では、獣医師たちは具体的にどのような問題点を感じているのでしょうか。



「断尾・断耳の処置について、どのような健康リスク・診断の難しさがあると思いますか?」という質問に対しては、以下のような回答が寄せられました。

【切断時の痛みや神経損傷により慢性的な痛みを感じるリスクがある】
- 『とてもそう思う(27.7%)』
- 『ややそう思う(56.5%)』
- 『あまりそう思わない(13.2%)』
- 『全くそう思わない(2.6%)』

【術後のケアが不十分な場合、感染症や皮膚トラブルのリスクがある】
- 『とてもそう思う(32.0%)』
- 『ややそう思う(50.5%)』
- 『あまりそう思わない(15.0%)』
- 『全くそう思わない(2.5%)』

【尾や耳の損傷・炎症の診断が難しいことがある】
- 『とてもそう思う(25.7%)』
- 『ややそう思う(48.3%)』
- 『あまりそう思わない(21.7%)』
- 『全くそう思わない(4.3%)』

【神経損傷により、筋力低下や歩行バランスの問題が生じるリスクがある】
- 『とてもそう思う(29.0%)』
- 『ややそう思う(48.1%)』
- 『あまりそう思わない(19.5%)』
- 『全くそう思わない(3.4%)』

【コミュニケーションの手段が減り、ストレスとなる可能性がある】
- 『とてもそう思う(29.9%)』
- 『ややそう思う(51.8%)』
- 『あまりそう思わない(15.3%)』
- 『全くそう思わない(3.0%)』

これらの回答からは、断尾・断耳の処置には、身体的な苦痛だけでなく、診断の難しさや行動・心理面への悪影響といった多面的なリスクがあることが読み取れます。

ほとんどの項目で、約8割の獣医師が「そう思う」「ややそう思う」と回答しており、反対していない獣医師に関しても、何らかのリスクを認識しており、健康や処置に伴う懸念は広範かつ深刻であることがわかります。

このような結果を受けて、遺伝学の専門家であり獣医師でもある今本成樹先生に、断尾・断耳が犬の健康や福祉に与える影響について、より詳しくお話をうかがいました。
【獣医師コメント(今本成樹先生/獣医師・遺伝学専門)】

1)健康や身体機能への影響
断尾や断耳は、犬の身体に大きな影響を及ぼす場合があります。
こうした処置は、生後間もない子犬に対して行われることが多く、身体的な負担や痛み、さらに感染症などのリスクも伴います。
私自身、これまで多くの断尾の症例に関わってきましたが、犬種ごとの「見た目の形」を整える目的で伝統的に行われてきた背景があり、たとえばトイプードルでは「見た目を重視して長めに残してほしい」といった要望を受けたこともあります。

現在では、こうした依頼は減少傾向にありますが、明確な医学的理由がない限り、断尾や断耳を行う必要はないと思います。

2)不適切な処置によるリスク
さらに問題なのは、こうした処置が医療的な必要性ではなく、繁殖や販売の都合のみで行われるケースがあることです。
特に、処置に不慣れな者が実施した場合、術後の経過が悪化することがあります。断尾や断耳は、ある意味「美容整形」のようなものであり、特に高い技術が求められる犬種も存在します。たとえば、コーギーの断尾やドーベルマンの断耳には、専門的なスキルと経験が不可欠です。

また、不衛生な環境で処置が行われたり、術後に母犬が傷口をなめたりすることで、傷が化膿し、治癒が遅れることもあります。最悪の場合には炎症が周囲の組織に広がるなど、管理が不十分な場合のリスクは決して軽視できません。私自身は断耳をやっていませんが、断耳後に感染症になった子犬を診療した経験があります。

このような理由から、特別な事情がない限り、断尾・断耳は慎重に検討されるべきであり、基本的には実施しない方が望ましいと考えています。


今回の調査と専門家の見解から見えてきたのは、断尾や断耳が単なる「外見の処置」ではなく、痛みや身体機能への影響、感染症のリスク、さらには感情表現やコミュニケーションの妨げにもなり得るという事実です。

これまで慣習的に行われてきた処置に対して、現場の獣医師の多くが慎重な姿勢や強い問題意識を持っていることが、今回の調査ではっきりと示されました。

ユーザーの声とSNSでの反響
獣医師の多くが問題視する一方で、そもそも一般の飼い主は、断尾や断耳についてどこまで知っているのでしょうか?

BreederFamiliesのInstagramで公開したリール動画「産まれてすぐ切られている!??トイプードルのしっぽが切られる真実?(https://www.instagram.com/reel/DHIvbTDSLEX/?igsh=MXFpOG95b3YzcG94Ng%3D%3D)」は、50万回以上再生(2025年6月時点)され、多くの共感の声が寄せられました。

コメントでは、「断尾の存在そのものを初めて知った」という驚きの声や、「知った上でやめてほしい」と訴える切実な願いが多く見られました。

■驚きと戸惑いの声 ※ユーザーコメント抜粋
- 「見た目のために切られてるって知りませんでした…?ブリーダーさんから“切らないといけない”と説明を受けて疑いませんでした」
- 「最初は短いものだと思ってました。知識がなさすぎて…尻尾まで?!と絶句しました」
- 「トイプーは尻尾が短いものだと思っていたけど、保護犬で長い尻尾の子を見て、これが自然な姿なんだとびっくりしました」

■知ったからこその後悔と願い ※ユーザーコメント抜粋
- 「うちの子もお迎えしたときからもう短くて…痛かったんだろうなと思うと、悲しくなります」
- 「ほんとに可哀想です。断尾も断耳も、人間の都合でしかない。法律でやめてほしい」
- 「家の子は断尾されています。最初から知っていたらと思わずにはいられません」

こうした声から見えてくるのは、当たり前だと思っていたことが、実は犬にとってつらい処置だったという事実に、多くの人がショックを受けているという現実です。

「知ることができてよかった」「もっと早く知りたかった」--そんな言葉が繰り返されるたびに、情報の非対称性がいかに大きな影響を与えているかが浮き彫りになります。

まとめ:知らなかった「当たり前」を見直すことで始まる変化
断尾・断耳については、見た目や慣習といった理由で行われてきた背景がある一方で、獣医師の約7割が反対の意見を示し、その多くが慢性的な痛みや身体への影響、非衛生的な処置による感染リスクなどの問題点を指摘しています。

一方、SNS上では「見た目のために切られているとは知らなかった」「短い尻尾が自然だと思っていた」といった声が多く見られ、処置の存在自体が一般には広く知られていない現状が浮き彫りとなりました。

そして、知った上で「絶対にやめてほしい」「もっと早く知りたかった」といった声が相次ぎ、情報の非対称性がいかに大きな影響を与えているかが示されました。

このように、たとえ慣習的に行われてきたことであっても、正しい情報を知ることで、動物たちにとってより良い選択ができるようになります。

日本でも、こうした「当たり前」を見直す動きが広がっていくことを願っています。


アニマルウェルフェアな選択を広げるために──Breeder Familiesの取り組み



こうした現状に対し、今回の調査を実施した株式会社ペトリコウェルは、ワンちゃんを家族のように愛する「優良ブリーダー」のみを厳選してご紹介するマッチングサイト『Breeder Families』https://breederfamilies.com/)を運営しています。

BreederFamiliesでは、断尾・断耳を行わないなど、アニマルウェルフェアの観点で厳しい評価基準をクリアした優良ブリーダーのみ掲載しています。掲載にあたっては、飼育環境、健康管理、繁殖方針など多角的に審査を行い、ワンちゃんの幸せを第一に考える姿勢を重視しています。

私たちは、Breeder Familiesを通じて、アニマルウェルフェアに配慮した健全な繁殖が正しく評価され、適切な情報とともに社会に広がっていくことが、ペット流通の健全化につながると考えています。

動物福祉の視点に立った選択が、飼い主・ブリーダー・そして何よりワンちゃんにとってより良い世界をつくる--私たちはその一歩を後押ししていきます。

■Breeder Familiesの特徴
アニマルウェルフェアを最優先に考え、安心して家族を迎えられると同時に、ペットを取り巻く社会課題の解決にも貢献するプラットフォーム

1. アニマルウェルフェアを第一に考えた厳しい評価基準
遺伝リスクを抑えた繁殖、劣悪な環境の排除、断尾・断耳の不実施など、アニマルウェルフェアを徹底。合格率10%未満という厳しい基準をクリアした優良ブリーダーのみを厳選しています。





2. 飼い主にもワンちゃんにも嬉しい出会い
適切な環境で愛情をたっぷり受けて育った子犬は、健康で社会性豊かです。また、Breeder Familiesのブリーダーは、譲渡後も家族の一員としての想いを持ち、飼い主様を手厚くサポートします。よって、初めてワンちゃんを迎える方でも安心して幸せな生活をスタートできます。




3. ペット業界の社会課題解決への貢献
Breeder Familiesでは、負担の大きい流通構造や命の大量生産・大量販売、劣悪な飼育環境といった業界の課題に対し、情報発信や優良ブリーダーとの直接取引を通じて解決を目指しています。また、売上の一部を保護団体へ寄付することで、保護活動の支援にも取り組んでいます。目の前の子犬だけでなく、すべてのワンちゃんに優しい世界を創っていきます。

<利用方法>
一般ユーザーの方は、無料でサイトを利用することができます。
以下の5ステップで子犬をお迎えすることができます。



・ワンちゃんを家族のように愛する「優良ブリーダー」のみを厳選したマッチングサイト
『Breeder Families』はこちら:
https://breederfamilies.com/
・1000人以上のブリーダーをリサーチした専門家への無料相談はこちら:
https://breederfamilies.com/consult
・Breeder Families公式Instagramはこちら:
https://www.instagram.com/breederfamilies/


●獣医師・遺伝学の専門家 今本先生のプロフィール
奈良県葛城市 新庄動物病院 院長
獣医師 今本成樹(いまもと しげき)さん

帝京科学大学非常勤講師。PennHIP認定医(アメリカ)、WUSV認定レントゲン実施獣医師(ドイツ)。ねこ医学会(JSFM)認定 CATvocate(猫の専任従事者)。防災士。

2000年に北里大学獣医畜産学部獣医学科を卒業後、大学院研究生として東京大学農学部生命科学科に在学。勤務医を経て、2002年2月に新庄動物病院を開業。日本小動物獣医学会(近畿地区大会)において遺伝性疾患の研究で症例研究褒賞を3度受賞。
獣医関連の学会誌、情報誌に遺伝性疾患に関する投稿を行うとともに、学会・研究会、各団体、小学校などにおいて遺伝性疾患や動物愛護、命の問題に関する講演を数多く実施している。
直近では比較統合医療学会で犬のがんワクチンの研究報告で学会長賞受賞している。


株式会社ペトリコウェル


設立:2024 年 4 月24日
代表取締役社長:吉村貴幸
本社所在地:東京都中央区銀座1丁目22番11号 銀座大竹ビジデンス2F
事業内容:動物福祉に本気のブリーダーマッチングサイト『Breeder Families』を運営

サービスURL:https://breederfamilies.com/


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