株式会社日立ソリューションズ東日本(所在地:宮城県仙台市、取締役社長:石井武夫)は、北海道内10ヶ所のJA様において、2025年4月より農作業自動記録サービスの試験導入を開始しました。
近年、農業を取り巻く環境は非常に課題が多く、特に農業従事者の高齢化と労働力不足が深刻化しております。作業効率の向上には、デジタル技術を活用する「農業DX」の推進が不可欠となっております。
効率的な農業経営を実現するためには、日々の作業記録をデータ化し、効率化に向けた分析を行うことが重要です。
実際の現場では、スマートフォン、タブレットなどによるデータ登録の仕組みが試行されていますが、農業従事者にとっては負担が大きく、作業記録のデータ化が進んでいないのが現状であり、この状況を改善する工夫が求められていました。
農作業自動記録サービスは、スマートフォンのGPS位置情報を利用し、AIを活用して移動軌跡を分析、農作業データを自動記録する仕組みであり、2024年度の北海道内のJA様における事前実証を基に、当社が開発したサービスです。
農作業者の位置情報の移動軌跡と、栽培カレンダーや過去の作業実績を基に、いつ・どこで・どんな作業をしたかの作業記録をAIが自動作成します。作業者は農作業中にスマートフォンに作業記録を手入力する負担から解放されます。
このサービスで得られた農作業データを農業従事者や関連機関全体で共有することで、農作業の実態や課題に応じた個別の作業計画の立案と、作業内容の質的向上や作業負荷軽減を可能にします。
図1:農作業自動記録サービスの全体像
試験導入の概要
試験導入では、農業従事者(JA組合員)のスマートフォンに農作業自動記録サービスのアプリをインストールし、「農作業自動記録サービス」の有効性を評価します。
経緯
効率的な農業経営を実現するには、日々の作業内容をデータ化し分析することが重要です。しかし、農作業者にとって作業中のスマートフォンやタブレットへの作業記録の登録は負担が大きく、データ化が思うように進まず、弊害となっていました。
このような状況に対処すべく、作業者の負担にならないデータ登録方法を実現する「農作業自動記録サービス」を開発し、共通の課題認識をお持ちの10ヶ所のJA様に参画いただき、試験導入を開始しました。
目的
- 農作業時のスマートフォン操作等の負担なく、正確な作業記録が登録できる (農業従事者)
- 作業記録データをJA様が共有することで、JA業務の効率化を図る (JA様)
- 関係者間で農作業の状況を共有し、問題の早期特定、タイムリーな施策の実行につなげる (JA様・農業従事者)
範囲
- いわみざわ農業協同組合様、帯広市川西農業協同組合様、小清水町農業協同組合様、
鹿追町農業協同組合様、新篠津村農業協同組合様、新得町農業協同組合様、
十勝清水町農業協同組合様、中札内村農業協同組合様、
東旭川農業協同組合様、ようてい農業協同組合様 (五十音順)
- 農業従事者
期待する効果
- スマートフォンの位置情報を活用して、農作業データを自動収集できる
- 作業記録の登録自動化により、組合員様のデータ登録作業の効率化を図る
- 作業の進捗状況や気付きなどを、関係者がタイムリーに登録・共有できる
- 作業の実態に応じた効果的な指導支援により、効率的な農業経営を実現する
- 作業進捗の状況をリアルタイムでデータ共有でき、経営体全体の作業時間が集計できる
導入前後の作業比較
今後の展望
2025年度の北海道内計10ヶ所のJA様の試験導入の結果を踏まえ、全国のJA様や農業法人に向けて、農業効率化の支援、さらには持続可能な農業経営の実現を目指し、ソリューション提案を進めていく予定です。
今後も持続可能な農業の実現に向け、ICTを活用した支援を通じて農業の面から寄与できるよう、『農作業自動記録サービス』の提供を通じ、社会貢献に努めてまいります。