せんだいメディアテーク(仙台市青葉区春日町、TEL 022-713-4483)で現在、映像投影や照明による表現を行うアーティスト・高橋匡太さんのインスタレーション作品「光の航跡」の展示が行われている。
同展は、仙台視覚芸術振興ネットワーク(SCAN)による現代アートイベント「仙台芸術遊泳 2009」のプログラム。「五感の都市の創造」をテーマに同施設のほか、仙台市天文台、仙台市歴史民俗資料館、仙台文学館、菅野美術館(塩竃市)、感覚ミュージアム(大崎市)、リアス・アーク美術館(気仙沼市)など県内11館で、光と音のアートプログラムを展開している。
「光の航跡」は、青色のLED照明で照らされた幻想的な空間の中で、横40メートルの壁面や4つのスクリーン、同施設の特徴であるチューブなどに映像を投影するもの。音響とも連動させ「ダイナミックな視覚体験」を生み出している。
「いつも『その場所でつくれるもの』をコンセプトにしている」という高橋さん。今回の映像作品も約2週間仙台に滞在する中で制作。「会場は密閉された空間だが、もし壁がなかったら変化する外の景色が見えるはず」と、施設屋上から見える360度の風景や施設内のさまざまな場所を撮影し、作品にまとめた。
また、同施設が所蔵する8ミリフィルムのデジタルアーカイブも取り入れた。映像は市民から提供された1960~70年代前半のもので、「家族のアルバムのような私的な記録のものを選んだ」という。「現在の映像と過去の8ミリ映像を合わせたことで『時間の厚み』が生まれた。5つのスクリーンから横軸のようなものが浮かび上がって見えれば」。
来場者には折り畳みいすを貸し出し、空間の中で自由に座って鑑賞できるのも特徴。会場の床には、来場者それぞれが見付けた「お気に入りのビューポイント」が矢印形のシールで貼られている。その数はすでに300を超え、「自分でも気付いていない視点が発見できた」と高橋さん。
先月22日からの展示で、現在まで約1,500人が来場。作品は展示後もバージョンアップを重ねているという。高橋さんは「仙台のニュートラルな雰囲気が今回の作品づくりに影響したと思う。美術が好きな方に限らず、映像やフィルムを入口にしてたくさんの方に空間を楽しんでいただければ」と話す。
開催時間は10時~19時(12日以降は21時まで)。入場料は300円(高校生以下は無料)。今月24日まで。