科学的・歴史的な観点から日本の食文化に迫る展覧会「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」が7月6日、東北歴史博物館(多賀城市、TEL 022-368-0106)で始まった。
「サザエさん」の磯野家の食卓を例に和食の多様化を振り返る展示も
2013年にユネスコ無形文化遺産にも登録された和食について、食材や技術、歴史的変遷など多角的な視点から紹介する。2023年10月~2024年2月の東京・国立科学博物館を皮切りに、山形、宮城、長野、愛知、京都、熊本を巡回する。
展示は6章で構成する。世界と日本の食を比較しながら和食とは何かを考える1章「『和食』とは?」、世界でも有数の生物多様性を持つ日本列島がもたらす豊かな食材と、発酵の技術やだしについて科学的な視点で解説する2章「列島が育む食材」、人々の知恵やおもてなしの心、海外との交流を通じて発展してきた和食の歴史をひもとく3章「和食の成り立ち」、和食の道具と料理人の技術を映像インスタレーションも交えて紹介する4章「和食の真善美」、ウェブサイトで行う「これって和食?YES or NOアンケート」を基に和食の定義を見直す5章「わたしの和食」、社会の変化を受けて変わり続ける和食のこれからを展望する6章「和食のこれから」。
各章では、織田信長が徳川家康をもてなした本膳料理や明治天皇の午餐(ごさん)会の料理などの再現模型、多彩な地ダイコンのレプリカ、マグロの実物大模型と魚介類の標本、江戸時代の屋台を再現したフォトスポットも用意する。会場内は一部を除いて撮影可。
監修を手がけた国立科学博物館植物研究部多様性解析・保全グループ研究主幹の國府方吾郎さんは「日本人はいろいろなものを果敢に自分の文化に取り入れ、食べるための工夫もしている。そういった日本人の特徴や歴史が、和食をつくっている大きな要素の一つ。日本の自然と日本人の知恵が和食をつくったということを、展示を通して理解してもらえたら」と話す。
開催時間は9時30分~17時(発券は16時30分まで)。月曜休館(祝日とその振替休日に当たる場合は翌日)。入場料は、一般=1,500円、小中高生=600円。9月23日まで。