埴輪(はにわ)を作った工人集団や古墳築造に携わった人々を紹介する「古墳をつくる人びと-はにわ工人、ハジベ君!-」展が現在、東北歴史博物館(多賀城市、TEL 022-368-0106)で開催されている。
「埴輪工人集団」の一人「ハジベ君」を主人公に仕立てたストーリーに沿って、実物資料をはじめ、イラストや復元写真、古墳のジオラマなどを組み合わせて展示する。
会場は、「プロローグ はにわ工人、ハジベ君!」「第1章 ハジベ君と王さま」「第2章 はにわを調べるぞ!」「第3章 ただいま、古墳をつくっています!」「第4章 古墳完成!-次の王さまへ-」「エピローグ 古墳とはにわ」で構成し、ストーリーに合わせ、古墳から発見された筒の形をした円筒埴輪、人や動物、道具などをまねて作った形象埴輪、勾玉(まがたま)や鏡などの副葬品など、実物資料約100点を紹介する。
同館企画部企画班技師の山口貴久さんは「現在も日本各地に存在する古墳は、当時の人々が多くの時間と労力をかけて作り上げたもの。古墳に置かれた埴輪や、有力者のひつぎである石棺などは、専門的な技術を持った人々が製作していたと考えられる。そのような痕跡がうかがえる資料を中心に、歴史を学び始めた子どもたちに古墳時代を分かりやすく伝え、興味関心を引き出すきっかけになれば」と話す。
東北・関東各地で発見された、笑った顔や独特なポーズをした人物の埴輪、飾りを付けた馬などバリエーションに富んだ埴輪を多数並べる。「歴史を学び始めた子どもから大人まで楽しみながら観覧してもらえる内容」と山口さん。中でも福島県いわき市の神谷作101号墳から発見された国指定重要文化財「埴輪 男子胡坐像(こざぞう)」「埴輪 女子像」は、豪華な装飾をまとい、古墳で行われる儀礼を表しているような荘厳なたたずまいが特徴という。
山口さんは「古墳は当時の有力者の墓であり、埴輪は有力者の死後、悪いものから守るもの、有力者にささげられた儀礼を表すものだと考えられている。それらに込められた人々の祈りを体感し、古墳時代に興味を抱くきっかけになれば」と話す。
開催時間は9時30分~17時(発券は16時30分まで)。月曜休館(9月18日は開館し、翌19日休館)。入場料は、一般=1,000円、65歳以上=900円、小中高生=400円。9月24日まで。