作家で僧侶の故・瀬戸内寂聴さんの展覧会「追悼 瀬戸内寂聴展 たくさんの愛を、ありがとう」が7月13日、仙台の百貨店「藤崎」(仙台市青葉区一番町3、TEL 022-261-5111)本館7階で始まった。
得度式に着た色留め袖と帯、剃髪した黒髪、得度式後に出したあいさつ状などを展示する第3章
「夏の終(おわ)り」「美は乱調にあり」などの著作や「源氏物語」の現代語訳で知られ、執筆のほか講演、法話など晩年まで精力的に活動し、2021年11月に亡くなった寂聴さん。同展では、会場に寂聴さんの言葉をちりばめ、法話映像など約400点を超える資料とともに、99年の足跡を紹介する。
会場内は7章で構成する。結婚、出産、敗戦の体験など、作家活動の源に迫る「第1章 人生の原点 出生から出奔まで」、400作を超える著作を残した寂聴さんの直筆原稿や愛用の品を展示する「第2章 瀬戸内晴美の文学」、51歳で出家した際の得度式で着用した色留め袖や帯、式の資料を紹介する「第3章 得度式 晴美から寂聴へ」、文学以外の寂聴さんの作品、法衣や数珠を展示し、寂庵の書斎を再現した「第4章 ようこそ、寂庵へ」、平成の「源氏物語」ブームを起こした現代語訳ゆかりの品々を展示する「第5章 寂聴源氏の世界」、作家から芸術家、俳優まで各界著名人との華やかな交友録を思い出の品と共に紹介する「第6章 人縁という宝物」、寂聴さんが最期まで語り続けたメッセージを届ける「第7章 生きることは愛すること」。
初日には寂聴さんの秘書を務めた瀬尾まなほさんが来場した。「99年間の生涯をどういうふうに生きてきたかがぎゅっと詰まった展覧会だと思う。99年間というと長いようだが、本人は100年なんてあっという間だよ、一瞬だったよと言っている。なぜ一瞬なのかというと、走り続けてきたから。ものすごく濃い人生を送ってきたことを、展覧会を通じて感じてもらえると思う」と瀬尾さん。「文学や人物に興味を持っていただいて、瀬戸内寂聴がこれからも皆さんの心の中で生き続けたら」とも。
開催時間は10時~19時(金曜・土曜は19時30分まで、最終日は17時まで、入場は閉場30分前まで)。入場料は、一般=1,000円、大学生・高校生=600円、中学生以下無料。8月7日まで。