仙台在住の3人が発足した「クリエイティブ関連都市型フェスティバル調査研究会」(通称=フェスラボ)が、仙台でのフェスティバル実現を目指して活動している。
研究会の中心メンバーは、東北大学産学官連携研究員の柿崎慎也さん、イベントオーガナイザーの國永眞一郎さん、ウェブデザイナーの田中舘一久さんの3人。同フェス開催に向けた活動が「仙台クリエイティブ・クラスター・コンソーシアム」の2008年度研究会助成事業に採択され、今年7月から専門家やアーティストを招いてインタビューや勉強会を実施。「仙台が国際的な創造都市として世界に認知されるきっかけとなるためのイベント像」(柿崎さん)を探るため、国内外の先行事例を調査している。
研究会が目指すものは、ビジュアル・デザインとサウンドに特化したフェスティバルを定期的に開催することで、「その創造性によって人が集まり、経済システムが動いていく『クリエーティブな都市』」の姿。そのために必要な要素として、「子どもから高齢者まで共感できる体験型イベント」「海外も含めた地域外のアーティストと地域の人材との交流、人的ネットワーク構築」「実験的な要素とエンターテインメント要素の融合」の3点を挙げる。
具体的なフェスの形はまだはっきりとは見えてこない。しかし、メンバーの國永さんは「すべての参加者が無邪気に遊べて、来場者が何か一つでも印象に残る『異空間』を音楽と映像で創造する。それが子どもたちにとって印象深いものであれば、将来の仙台のデザインを活性化するものになるのでは」と話す。その実現に向けて田中舘さんは「近未来を描くようなものをクリエートし、世界にアピールするというよりも『勝手に気付かれる』ような、そんな仙台の核となるイベントにしたい」と意気込む。
県や市の関係機関と連携し、来年3月には宮城県美術館(仙台市青葉区川内元支倉)でプレイベントを開催する予定で、現在、デザインユニット「wowlab」やアーティスト「antennasia」と準備を進めている。
仙台市産業振興課の天野元課長は「人口が減少していく日本社会で仙台が成長を持続するためには、アーティストやクリエーター、新しいビジネスモデルを作る起業家など、クリエーティブな人材や企業がキープレーヤーになる」と話し、「『フェスラボ』が仙台の成長力を生み出す『装置』になれば」と期待を寄せる。