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塩釜・杉村惇美術館で企画展 チリ地震津波とその後を市民の写真とエピソードで

チリ地震津波発生後の写真95点、現在の比較写真35点をエリアごとに分けて展示(写真提供=杉村惇美術館)

チリ地震津波発生後の写真95点、現在の比較写真35点をエリアごとに分けて展示(写真提供=杉村惇美術館)

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 塩釜市の杉村惇美術館(TEL 022-362-2555)で現在、企画展「まちと 記憶と 映画館~1960 年の記憶編~」が開催されている。

市民から提供された写真アルバム

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 塩釜ゆかりの洋画家・杉村惇の作品を所蔵・展示する同館は、1950(昭和25)年に建造された塩釜市公民館本町分室の2階をリノベーションし、2014(平成26)年11月に開館。文化芸術活動の発信拠点としての役割も担っている。

 「まちと 記憶と 映画館」は、塩釜のまちの記憶を集め、市公民館本町分室に大講堂が誕生した昭和30年代当時の「映画館のような文化的な団らんと交流の場」を設けるプログラム。2015(平成27)年、2017(平成29)年、2019年に続き4回目の開催となる今回は、1960(昭和35)年に起きたチリ地震津波に焦点を当てる。

 メイン企画は、チリ地震津波とそれ以降のまち並みの変化に着目した写真展「1960年5月24日~あの頃とそれから~」。チリ地震津波で塩釜では2.8メートルの津波を観測し、死者2人、傷病者76人、家屋の全半壊や床上床下浸水など大きな被害を受けた。同館担当者は「東日本大震災から10年を迎えた今年、災害を乗り越えてきた人々の経験を振り返りながら、未来へと語り継ぎたい記憶や伝えたい思いを分かち合い、今あらためてその知恵に耳を済ませる機会となることを願い企画した」と話す。

 市民から提供されたチリ地震津波の写真資料とまつわるエピソード、1960年以降の塩釜のまち並みが撮影された比較写真を展示。写真資料132点(津波発生後の写真95点、現在の比較写真35点、アルバム2点)、関連資料9点が並ぶ。

 エピソードは、当時幼稚園児~30代の市民の体験を中心に紹介。津波がまちを襲う様子、その際にどのような行動を取ったのか、どのように逃げたのか、水をかぶった商品の投げ売りの様子、自衛隊の救援活動、駅、まち並みの変化など、さまざまエピソードが寄せられたという。

 「提供を受けた写真の中には丸ごと1冊チリ地震津波の写真を収めたアルバムもあった。経験を孫に伝えるため、アルバムを大切に保管してきたということだった。また別の方から提供されたアルバムにはさまざまなメモが記入され、いかに出来事を詳細に記録し、伝えようとしているのかが伝わる」と担当者。

 「当時の暮らしの情景が浮かぶエピソードや現在の比較写真と併せてご覧いただき、まちの記憶を通して、日常的に災害へ備え防災意識を高めることにつながれば。当時を知らない、若い世代の方にもご覧いただければ」と呼び掛ける。

 開館時間は10時~17時(入館受け付けは16時30分まで)。月曜休館。観覧料は、一般=200円、高校生=100円、中学生以下無料。6月13日まで。新型コロナウイルス感染予防対策として、マスク着用や手指消毒、ソーシャルディスタンス確保の協力を求める。

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