新型コロナウイルス感染症の重症患者に対する治療に使われる体外式膜外人工肺「ECMO(エクモ)」を扱う医療従事者の育成を目指して東北大学が立ち上げたプロジェクトに、2カ月で約1,300万円の寄付金が集まっている。
東北大学クリニカル・スキルスラボでのエクモトレーニングの様子
東北大学病院と東北大学大学院医学系研究科・医学部は東日本大震災後の2012(平成24)年、地域医療の支援と復興を目的に医療技術研修施設「東北大学クリニカル・スキルスラボ」を設立。基本~高難度技術の学習に対応する約100種類250台のシミュレーター、医療機器を整備し、これまで12万人を超える医療従事者に再教育を行い、地域医療の質向上に取り組んでいる。新型コロナに対しては、高度な技術、経験が必要なエクモの取り扱いについて、他施設に対する研修を行う東北唯一の研修施設として約1000人の医師、看護師、臨床工学技士に指導を行ってきた。
同施設は開設から10年が経過し、設置した医療機器の多くは耐用年数を過ぎており、故障などにより十分な機能を発揮できない機器、最新の医療に対応していない機器があるという。そこで今回、最新の医療を学ぶためのシミュレーターや医療機器を購入し、新型コロナをはじめとする社会全体の医療課題の克服を支援する活動を継続したいと、「Withコロナ!地域医療と先進医療の要を育てる」と題したプロジェクトを発足。2月2日にクラウドファンディングを始めた。
東北大学大学院医学系研究科の八重樫伸生研究科長は「救命の現場では、一人の名医がいれば患者さまの予後が良くなるわけではなく、医師や看護師など関わる全ての医療従事者が治療に関与するため、一人一人が正しい知識や対応、コミュニケーションに至るトレーニングを積む必要がある。チーム医療のトレーニングは、多忙を極める実際の医療現場で学ぶことは困難であるため、医療現場外でシミュレーターを使った教育を受ける必要がある」と訴える。
目標金額の1,500万円に対し、4月5日21時現在の寄付総額は約8割の1,298万円。「皆さまからのご支援を頂くことで研修環境を充実させ、一人でも多くの重症化した患者さんの回復につながる研修実施に尽力したい」とさらなる支援を呼び掛ける。
寄付は今月30日23時まで、クラウドファンディングサイト「レディーフォー」で受け付ける。オールイン方式で、集まった金額に関わらずプロジェクトは成立する。