宮城県名取市の特別養護老人ホーム「うらやす」(名取市下余田字鹿島)に2月11日、遠隔操作型アンドロイド「テレノイド」が導入された。
テレノイドは、アンドロイド研究の第一人者で、大阪大学基礎工学研究科教授の石黒浩さんが中心となり開発した小型の遠隔操作型アンドロイド。高さ50センチ、重さ2.7キロ。人間としての必要最小限の見掛けと動きの要素のみを備え、カメラとスピーカーを内蔵し、オペレーターが遠隔操作しコミュニケーションを取る。
性別や年齢層が特定されない顔立ちのため、利用者は自分の思い描く人をテレノイドに投影しやすく、特に認知症の高齢者が抱きかかえて会話をすると著しい情緒安定効果などが見られるという。同施設では今回3体を導入。宮城県によると、研究の実証実験以外で介護現場に導入されるのは今回が世界初。
県では、団塊の世代全員が75歳以上になる2025年に向けて、少子高齢化、介護人材不足などの課題解決のため、新たな制度設計や思い切った手法を取り入れた事業展開に取り組んでいる。当日行われたセレモニーに参加した村井嘉浩宮城県知事は「宮城県は東日本大震災で大きな影響を受け、各地域よりも早く高齢化が進んでいる。宮城の新しい介護モデルを作り、全国・世界へ発信していくことが、皆さまに受けた恩に報いることになるのではと考えている」と話す。
石黒教授は「どういうふうに使ってもらうか、それぞれの高齢者の方の症状や好みなどに応じてどういう対話をすればいいのか、何時間対応すればいいのか、モデルができればほかの施設でも導入しやすくなると思う。そういう意味でも、とてもありがたい取り組み」と意義を説明。「宮城県は10年早く高齢化を迎えるわけだが、高齢化の新しいケアのモデルがここで10年早く作られて全世界に展開されていけば」と期待を寄せる。