仙台の「卸町イベント倉庫」(仙台市若林区卸町2)で3月1日から、作家・萩原陵さんの個展「ニハ」(niwa)が開催されている。
萩原さんは1981年栃木県生まれで、現在、東北工業大学(仙台市太白区)大学院に在学中。造船などで使用される「耐候性鋼」を素材に制作活動を行い、「石」をコンセプトとした重量のある鉄の造形作品を発表してきた。個展では「『庭』という言葉が本来持っている『なわばり』や『場』を表現」(萩原さん)し、庭園に置かれた景石のように作品を配置。最大のもので全長約2.7メートル、重さ約80キロあるという。
会場は、仙台卸売業の拠点となる流通団地「卸町」にある倉庫で、近年はアートイベントやコンサート、ワークショップなどに利用されてきた場所。萩原さんは「照明などはあるものをそのまま使用したが、天窓から入り込む光や空が照明のような効果を生み、時間によって作品の見え方や雰囲気がまったく違う。空間が作品にどのように作用するかを勉強できたのが収穫だった」と話す。
ディレクションを行った建築家・曽根健一朗さんは「商用倉庫という大型空間での展示なので、『空間構成の考察』がテーマ。作品性と空間の持つテクスチャーとのバランスなど、空間と作品との特性に重きを置いた」という。曽根さんは今回の個展後も同所の活用について検討していく予定で、「あえて倉庫を利用することの意味と、卸町でやることの意義を考えた展示にしていきたい。流通の経路として存在する『卸町』に、アートと商業の接点から新たな流通経路が作り出せれば」と意気込みを話す。
開催時間は11時30分~18時30分。入場無料。3月9日まで。
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