せんだいメディアテーク(仙台市青葉区春日町)で10月11日~14日の4日間、「ぴあフィルムフェスティバル」が開催される。
同フェスは、「映画の新しい才能の発見と育成」「映画の新しい環境づくり」をテーマに1977年にスタートした映画祭で、今年で29回目。7月~8月にかけて渋谷で開催され、仙台での開催以降は名古屋、北九州、大分、福岡、神戸、大阪の順に会場を移す。
仙台会場では「PFFアワード」受賞14作品のほか、招待作品として今年6月に亡くなった故エドワード・ヤン監督作「ヤンヤン夏の思い出」「恐怖分子」、ポルトガルのペドロ・コスタ監督の「コロッサル・ユース」「タラファル」など、4日間で21作品を上映。11日にはペドロ・コスタ監督の来場も予定。
同フェスの特徴である、国内最大の自主制作映画コンペティション「PFFアワード」には今回、全国から780作品の応募があった。これまで29回の応募総数は16,000作を超え、過去には森田芳光さん、犬童一心さん、飯田譲治さん、黒沢清さんら著名な映画監督を輩出。プロを目指す若手アマチュア監督の登竜門として、クリエーターからの認識も高い。
同フェスディレクターの荒木啓子さんは同アワードの開催意義について、「少なくとも人が一生懸命やったことが受け入れられる社会でありたいとの願いが根底にある」と話す。「PFFアワードでは、予備審査の段階でも映画の仕事に関わる人間が最低でも3人、最初から最後まで通して見る。作家が精魂を込めて作った作品を受け止めるという意味では、世界で一番良心的なコンペだと思っている」という。
一方、観客に対しては「まったくの無名監督が作った、宣伝もしていない映画を見に行くということは、一般にとって難しい選択なのかもしれない。しかし、本当にお客さんを楽しませようという気持ちの伝わるエンターテインメント性の高い作品が多く、二流のプロが作る劇場映画よりも面白い」と言い切る。「暗くてマニアックな作品ばかりだったら29回も続いていない。まずは見に来てほしい。そうすれば、自主制作映画についての固定観念を解くことができる」とも。