ジュンク堂書店仙台ロフト店(仙台市青葉区中央1)で現在、ブックフェア「『知られざる東北の技』と『みやぎ手仕事めぐり』」が開催されている。
市内の出版社「荒蝦夷」(宮城野区榴岡3)の発行物やそのほかの手仕事にまつわる書籍とともに、東北・宮城の工芸品を販売する同フェア。同社発行の「聞き書き 知られざる東北の技」(1,785円)という1冊の本が開催のきっかけとなった。同書は著者の野添憲治さんが、アケビ油絞り、船大工、石切工、海女など東北の職人20人の話を聞き書きしたもの。取材対象の多くは高齢化と後継者不在により「この仕事は自分で終わり」という「最後の」職人で、発行時にはすでに仕事から離れた人もいたという。
そこで同社の滝沢真喜子さんと同書店の店員・佐藤純子さんが、「暮らしの変化とともに失われつつある手仕事を多くの方に知ってもらいたい」とフェアを企画。併せて宮城の手仕事も紹介したいと考え、約1カ月間にわたり県内10の工房を取材し、ガイドブック「みやぎ手仕事めぐり」(525円)にまとめた。「工人さんたちの生き方を中心に書いた。詳しい作り方や歴史については、工人さんたちから直接話を聞いてほしいという思いもあった」と滝沢さん。読者が興味をかき立てられるようにと、あえて写真は使わず佐藤さんの描くイラストを添えた。
販売している工芸品は、「塩釜馬具店」の熊鈴(4,935円)、「小野桶樽工芸」の銚子樽(4,200円)、「堤焼乾馬窯」のぐい飲み(1,365円)、「名取屋染工場」の手ぬぐい(840円)、「つつみのおひなっこや」のむすび丸土鈴(1,050円)、「東北工芸製作所」の玉虫塗しおり(472円)、「仙台堆朱製作所」の牡丹彫汁碗(735円)、「平賀こけし店」のこけし(1,050円)など。
「こんなにすてきなものが東北・宮城にあるんだと知ってもらい、手に取って触れてもらい、できれば買って使ってほしい。わたしたちが生活の中で実際に使ってこそ、愛される技としてこれからもずっと残っていくのだと思う」と佐藤さん。滝沢さんは「若いお客さんも多い書店なので、手仕事の良さに触れてもらうきっかけになるとうれしい。このフェアは入門編のようなもので、興味を持ったらぜひガイドブックを手に工人さんの元を巡ってもらえれば」と期待を寄せる。
営業時間は10時30分~20時30分(日曜・祝日は10時~)。フェアは10月31日まで。